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東大からプロ野球選手、イチローに打たれ二軍降格、ナベツネ・孫正義との出会い...小林至が振り返る波瀾の人生 (5ページ目)

  • 飯尾哲司●文 text by Iio Tetsuji
  • photo by Sankei Visual

── ソフトバンクが常勝軍団となるなか、孫さんはどのような反応をされていましたか。

小林 孫さんは私が事業報告に行くと、返ってくる言葉は決まっていました。「君たちに与えたミッションは『10連覇するチームをつくる』『メジャーのスーパースターを連れてくる』『世界一決定戦の道筋をつくる』の3つだ」と。孫さんは桁違いにスケールの大きい方でした。

 私は06年の第1回WBCの前に、NPB代表としてMLB機構と交渉もしました。MLB主催なのに、メジャーのスター選手が出なかったり、収入のほとんどが日本だったり、まず一回やってみようという感じで始めた大会が、このお盛り上がり。今やメジャーのスター選手も参加するようになり、大きく成長したことはすばらしいことだと思います。

 一方で、MLBとは収入、選手の年賦、施設やテクノロジーのインフラなど、あらゆる点で格差が生じ、当時よりもはるかに大きくなっています。そういう意味では"真のワールドカップ"は遠くなっている気もします。

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小林至(こばやし・いたる)/ 1968年生まれ、神奈川県出身。1991年、千葉ロッテマリーンズにドラフト8位指名で入団。94年から7年間米国在住、コロンビア大学でMBA取得。2002〜20年、江戸川大学(助教授/教授)、2005〜14年、福岡ソフトバンクホークス取締役を兼任。パ・リーグの共同事業会社「パシフィックリーグマーケティング」の立ち上げや、球界初「三軍制」の導入等に尽力した。立命館大学、サイバー大学で客員教授。経産省『地域×スポーツクラブ産業研究会』委員、スポーツ庁『スタジアム・アリーナ推進官民連携協議会』幹事、スポーツ庁『スポーツ産業拡大に向けた潜在分野検討会』委員、ジャングルX株式会社顧問。近著『野球の経済学』(新星出版)など著書、論文多数。博士(スポーツ科学)、学校法人桜美林学園常務理事/桜美林大学教授/大学スポーツ協会(UNIVAS)理事 

著者プロフィール

  • 飯尾哲司

    飯尾哲司 (いいお・てつじ)

    静岡県生まれ。『週刊ベースボール』編集部出身。野村克也氏『私の教え子ベストナイン』『リーダーとして覚えておいてほしいこと』、元横浜高野球部長・小倉清一郎氏『小倉ノート』をはじめ、書籍の企画・取材・著書多数。プロ野球現場取材歴35年。早稲田大学大学院修士課程修了。学術論文「エリートアスリートはなぜセカンドキャリアで教員を選択したのか:プロ野球選手とJリーガーの事例をもとに」(スポーツ産業学研究, Vol.33, No.1, p.63-73,2023.)

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