巨人のドラ1浅野翔吾が語った意外な目標の数字 描く夢は「バントをしない2番バッター」 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by 産経新聞社

 浅野が球団から与えられた背番号は「51」。高松商時代に指導を受けたイチロー(元マリナーズほか)が現役時代に好んでつけた番号である。浅野は「イチローさんを意識するところもありますし、『51番といえば浅野』と言ってもらえるような選手になりたい」と意気込む。

 スーパールーキーと言っても、まだ18歳。入団前には「1個上の先輩とかに焼肉に連れてってもらって」と、93キロのオーバーウェイトで新人合同自主トレに入る幼さも見せた。香川県から上京し、「人がごちゃごちゃしてる場所は苦手ですが」と都会での生活にも順応している段階だ。それでも浅野は、日進月歩で近未来のスターへの道を歩み続けている。

 これからプロ野球選手として、自分にどんな価値を見出し、表現していきたいか。そんな質問をぶつけると、浅野は少し考えてからこう答えた。

「自分のなかでは、『バントをしない2番バッター』になりたいです。ランナーが一塁にいてもバントをしないで、ヒットでつないで3番、4番につなぐ。そんな選手になれたら理想ですね。そのためにもバットコントロールを磨いていきます」

 浅野に対して「将来の中軸候補」というイメージを抱いていたファンにとっては、少し肩透かしを受ける答えだったかもしれない。だが、まだ潜在能力の底を見せていない浅野が、既存の価値観に収まるとはどうしても思えない。

 予測不能のことをやってのけるファンタジスタ。それが浅野翔吾という野球選手の最大の魅力だからだ。

著者プロフィール

  • 菊地高弘

    菊地高弘 (きくち・たかひろ)

    1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。

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