巨人ドラ1→メジャー→日本球界復帰→戦力外...流浪の野球人生を送る村田透「技術は上がっている。衰えはない」とマウンドを目指す (4ページ目)

  • 阿佐智●文 text by Asa Satoshi

「『こんなにもできるんや!』って。1シーズン、プレーしていなかったんですけど、思った以上にできたのでびっくりしましたね。夏のトレーニング中もバッターには投げていませんでしたけど、ニュージーランドに行ってからの練習でいい球を投げられていたんです。スピードガンがなかったので、球速はわかりませんでしたが、球の強さは感じました。制球もよくなっていたし、こんなビタビタに決まったことなんてなかったので。まだ半信半疑でしたが、よくなったかなという手応えはありました」

 初回、先頭打者から5連続三振。6人目の打者・陽岱鋼(元日本ハムなど)も追い込んだが、三振は奪えず。それでも陽のバットをへし折るピッチャーフライに打ちとった。

 村田はオークランドでフルシーズンローテーションを守り、9試合に先発した。勝ち星こそ1勝に終わったが、「整った」自分を感じることはできた。

 村田は今、ひとり東京でトレーニングをしている。今シーズンのことはまだ何も決まっていない。世界中のどこからか声がかかったら行くつもりでいる。

「どこでも求められるところがあればやってみたいですね」

 アメリカのマイナー時代は頭になかった独立リーグも視野に入れている。

「そこでプレーする魅力があれば行きますよ」

 とはいえ、今年5月に38歳を迎える。どこからも声がかからなければ、"引退"も現実のものになってくる。それでも村田に焦りはない。

「無理やと思ったら、とっくに(野球を)辞めています。焦っても無駄というのはわかっていますし、声がかかったらいつでも行けるように準備しておくだけです。ひとりでトレーニングって言っても、実際はいろんな仲間が手伝ってくれましたから。その人たちのためにも恩返ししないといけないですね」

 村田が大学・社会人ドラフト1巡目で巨人に入団したのは2008年。あれから15年の月日が流れたが、野球への情熱はいまだ衰えていない。それどころか"心技体"ともに充実の一途をたどっている。はたして、村田は再びマウンドに上がることができるのか。今は静かにその時を待っている。

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