巨人ドラ1→メジャー→日本球界復帰→戦力外...流浪の野球人生を送る村田透「技術は上がっている。衰えはない」とマウンドを目指す (2ページ目)
それでも村田に「引退」の文字が浮かんでくることはなかった。
「2020年シーズンくらいから、自分の体をもう一度変えようと、一からやり直したんです。2017年に日本に戻ってきて、数シーズンを過ごして、なんというか......だんだん悪い方向に進んでいるなという思いがあったんです」
村田の言う「悪い方向」は、フォームや技術面のことではなかった。
「体のキレというか、フィジカル面でもう一度リセットして、若い頃の体に戻そうということです。老いが始まっているというわけではないんですけど、年々悪い方向にいっているという実感はあったんで、数年前からやり直したんです。そのなかで、自分としては2021年くらいからすごく調子がよくなってきました。体ができあがったというか、整った感じですね」
だが周囲は、30代後半に差しかかったベテランのリセット過程を"衰え"と感じた。村田が「整った」と思った2021年シーズンの一軍登板はわずか8試合。勝敗もセーブもホールドもつかなかったのは、つまり戦力とはみなされていなかったのである。
「起用法については仕方ないと思っています。実際、結果も出ていませんでしたし。でもパワーとかも含めて、体の柔軟性、キレはよくなったんです。ただ、それを扱いきれなくて......。バランスが悪くなったんですね。自分のなかでもちゃんと投げることができていないのはわかっていました。ボールがいっていませんでしたから」
自分のなかで「?」を抱えながら過ごしたシーズンのあと、先述したように日本ハムから自由契約を言い渡された。
【1年の浪人生活でつかんだ手応え】
2022年シーズン、どの球場にも村田の姿はなかった。ひとりで黙々とトレーニングを続けていたという。「どこで?」「誰と?」という問いに、村田は答えようとしない。スタジアム以外のことを話そうとしないのは相変わらずだった。
ひたすら孤独なトレーニングを続ける"浪人生活"だったが、それでも37歳のベテランに大きな可能性を抱かせた。
「昨年は自分を見つめ直すことができた1年でした。プレーしながらだとわからないことがいろいろ見えてきましたから。技術は確実に上がっています。衰えはないです。もちろん、20代の体ではないですけど」
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