巨人ドラ1→メジャー→日本球界復帰→戦力外...流浪の野球人生を送る村田透「技術は上がっている。衰えはない」とマウンドを目指す (3ページ目)

  • 阿佐智●文 text by Asa Satoshi

 そんな折、次の移籍先を頼んでいたアメリカ時代からの代理人から連絡があった。彼が持ってきた話は、オーストラリアのウインターリーグでのプレーだった。ただし、行き先はニュージーランドだった。

「えっ、ニュージーランド?」

 オークランド・トゥアタラというチーム名を聞かされて、村田は初めてこの国に野球があることを知った。

「僕もベネズエラのウインターリーグでプレーしたことはあったので、ABLというリーグ自体は知っていましたが、ニュージーランドにチームがあることは知りませんでした」

 ニュージーランド最大の都市・オークランドを本拠とするトゥアタラは、2018年秋に創設された新しい球団である。コロナ禍で一昨年はシーズンをキャンセルしたが、昨シーズンABLに戻ってきた。そもそも競技人口が少ないこともあり、選手の多くはアメリカからのマイナーリーガーだった。

「日本人もいっぱいいました。僕以外にピッチャーが2人。ひとりは日系ブラジル人(仲尾次オスカル/元広島)で、もうひとりは社会人の投手でした。野手は独立リーガーの外野手と育成選手のキャッチャーがいましたね。それに日本人トレーナーもいたので、話し相手には困りませんでした」

 開幕10日前くらいに現地にわたり、キャンプというほどでもない全体練習を行なうとシーズンに突入した。村田自身、ウインターリーグの参加は6回目ということで、グラウンドで戸惑うことはなかったが、球場を出ると戸惑うことはあった。
 
「国自体が野球に慣れていないというか、空港で野球選手って言っても理解してもらえない(笑)。遠征の時もチームの服を着ているのに、『なんのチーム?』って。説明すると『あぁ野球ね』と言われることもあるんですが、『地元ちゃうんかい!』って思わず心のなかでツッコミましたよ。球場も客入りはよくなかったですし......とにかくいろいろ勉強になりました」

【声がかかればどこでも行く】

 試合は週末の4連戦。試合翌日にオフがあって、あとの2日はチーム練習、遠征にあてられる。

 村田の出番は、敵地・ブリスベン(オーストラリア)で行なわれた開幕カードの第4戦の先発だった。実戦から1年以上経ってのマウンドだったが、村田はすぐに手応えを感じた。

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