山川穂高「嫌な思いをたくさんした」5年前からの成長に自信。打倒・メジャーリーガーへ「足を上げて打つフォームは絶対に変えない」 (4ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

【足を上げないと間合いがとれない】

 本稿の冒頭で山川の言葉を紹介したように、5年前の日米野球の頃から大きく成長している。31歳と円熟味を増したなか、WBCでは日の丸を背負ってどんな活躍を見せてくれるのか。

 ひとつ楽しみなのが、一流メジャーリーガーにどう挑むのかだ。左足を大きく上げる打ち方は山川独特で、以前の日米野球では苦戦の要因に挙げる声もあった。今回も、そうした不安をすでに指摘しているメディアもある。

「本当は足を上げないで打てるなら一番いいと思います。大谷翔平選手や村上選手みたいに。でも僕自身は、上げないと間合いがとれないことに気づいたので。それを変えると、僕はまったく打てなくなります。だから変えることは絶対にない」

 足を上げるか否かは、あくまで動作の一部にすぎない。メジャーを見渡しても"レッグキック"を使いながらタイミングをうまくとる打者はいくらでもいる。山川が言うように、自分の間合いで打つほうがはるかに大切だ。

 手痛い失敗を糧に、学んだことがある。そうして5年ぶりに日の丸を背負う今回は、昨年のサイ・ヤング賞投手サンディ・アルカンタラ(マーリンズ/ドミニカ共和国)や160キロを連発するエドウィン・ディアス(メッツ/プエルトリコ)ら超一流メジャーリーガーと顔を合わせる可能性もある。山川は彼らとの対戦を楽しみにしているだろうか。

「いや、楽しみじゃないです。だって、(まずは)中国と戦うので」

 山川が照準を合わせているのは、初戦の中国戦だ。

 日本ラウンドを勝ち上がって準決勝に進めば、マイアミのローンデポ・パークで上記のメジャーリーガーたちと対峙するかもしれない。パ・リーグを代表する"4番"は、どのように攻略するのか。

 屈辱の日米野球から5年。成長した山川が挑む、力と力の勝負を楽しみにしたい。

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プロフィール

  • 中島大輔

    中島大輔 (なかじま・だいすけ)

    2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。

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