山川穂高「嫌な思いをたくさんした」5年前からの成長に自信。打倒・メジャーリーガーへ「足を上げて打つフォームは絶対に変えない」 (3ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

「(2018年の)3、4月はどちらかというと力感でホームランを打っていたんです。引きつけて、ガンって。それが構えた時から力が入っていない状態で、打つ瞬間だけスポンとバットがしなって出るような感じさえつかめれば、前で打ってもセンターにホームランが打てるんです。そういう感覚が、最近いくつかできている。バッティングの感覚は毎日少しずつズレるけど、この状態が継続できればわりと打てるのかなと」

 そして今オフ、山川が新たに始めたのが風船トレーニングだ。打撃練習中に風船を膨らませながら打つというもので、その目的を2月1日の囲み取材でこう説明した。

「去年は大丈夫だったんですけど、一昨年までのプロ8年間でフォームがいっぱい変わっています。この8年間、構えの段階の"気持ち悪さ"がどうしてもあって。気持ちいい時もあって、その時は打てるんですよね。でも、『気持ち悪いな、こうかな......』とずっと探しながら毎日やっていて。それが腹圧をちゃんと高めてから手を構えたら、手が決まるという不思議な状況を知りました。だから手を意識するんじゃなくて、ここ(腹圧)を意識すれば手(の構え)が決まる。そのためだけに風船をやっています」

 風船を膨らませて打つのは、インパクトの際に腹圧のパワーをボールに伝えたいということだろうか。そう聞くと、「全然違います」と即否定された。

「インパクトは一瞬の動作すぎて、何を使うとか、使わないとかは考えてないですね。トップから振りにいくまでの一部始終って、基本覚えていないので。だから、構えている段階を探っています。そこは意識できるところなので。あとの動作は反応だけですね。試合では息を吐いてとか、あまり意識したことはないです」

 それから約10日後、春季キャンプで山川が風船トレーニングをしている映像を目にした。打撃でインパクトに向かう瞬間、風船は膨らんでいた。つまり、腹圧をスイングのパワーに込められているということだ。

 おそらく山川は、この打撃を無意識に行なえているのだろう。手を構える際に腹圧を意識すれば、スイング時に自然と使える。そうした一連の動作を体に染み込ませてきたのだ。

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