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キャッチボールの位置どりから見る侍ジャパン勢力図。源田壮亮の自覚、近藤健介の気遣い、牧秀悟の大胆不敵... (3ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta

「牧が相手がいなかったんで、僕も友だちがいなかったんで(笑)、じゃあ、一緒にしようと......(声をかけたのは)牧のほうからでしたね。弟(辰哉)が牧と同じDeNAにいるんで(打撃投手)、そういうつながりもあったし、彼も気さくに僕にしゃべりかけてくれて、いや、うれしかったですよ」

 つまりは牧の人懐っこいキャラクターがあってこその異質な組み合わせだった。牧はまだ24歳の若手ながら、ベイスターズの先輩からも、平気で懐へ飛び込んでくるタイプなのだと聞いたことがある。牧もこう言っていた。

「学生の時は、年上の方といっても3つ離れているくらいでしたけど、プロの世界はすごく離れている人も多いので、最初、ある程度の気遣いは必要でした。でも、これは僕の性格のせいでもあるんですが、どんな相手でも、どんな舞台でも、何も変えずにぶつかっていくんです。そうするといつしか馴染んでしまう......どこでやっても野球は野球。それは昔から変わりません」

 宮崎に合流しなかった大谷翔平は「年齢も上なのか下なのかわからない選手がいると思うので、とりあえず最初は全員に敬語から入りたいなと思います」と話していたが、大谷にとってもっとも年齢不詳に映るのは牧ではないだろうか。

 プロ3年目とは思えない風格と憎めないキャラ......そんな牧だからこそ、WBCのような大舞台で何かでっかいことをしでかしてくれるのではないか。そして大谷がイジるとしたら、牧は最有力候補だろう。もし大谷が牧を年下と知りながら、わざと敬語で話しかけてきたとしたら......そんなふうに訊くと、牧はこう言って笑った。

「光栄ですね、ありがたいです。僕もすかさず敬語で話し返します!」

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著者プロフィール

  • 石田雄太

    石田雄太 (いしだゆうた)

    1964年生まれ、愛知県出身。青山学院大卒業後、NHKに入局し、「サンデースポーツ」などのディレクターを努める。1992年にNHKを退職し独立。『Number』『web Sportiva』を中心とした執筆活動とともに、スポーツ番組の構成・演出も行なっている。『桑田真澄 ピッチャーズバイブル』(集英社)『イチローイズム』(集英社)『大谷翔平 野球翔年Ⅰ日本編 2013-2018』(文藝春秋)など著者多数。

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