キャッチボールの位置どりから見る侍ジャパン勢力図。源田壮亮の自覚、近藤健介の気遣い、牧秀悟の大胆不敵... (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta

 その源田のパートナーは1つ年上のチームメイト、山川穂高だった。上座の源田と組むパ・リーグのホームラン王からは、チームを牽引するというよりも源田を支える側に回り、試合でホームランを打つ仕事に集中しようという覚悟が垣間見える。

 中野拓夢と岡本和真は同学年、村上宗隆と山田哲人はチームメイトだが、山田がこの位置にいたことも興味深い。中野、岡本よりも4つ上なのだから源田に近い位置にいても不思議ではないのだが、山田の位置からも今大会は国際舞台の経験が豊富なベテランとして、同学年の源田を支える側に回ろうという気配りを感じる。

 そしてサポートメンバーの重信、松原を挟んだ先に、周東佑京と近藤健介のホークスコンビがいるのもなるほどと頷きたくなった。近藤は岡本、中野より3つ、周東も彼らより1つ上なのだから、もう少し位置を上げてもいいはずなのだが、これも彼らなりの気配りではなかったか。鈴木誠也、ラーズ・ヌートバーのキャンプ合流が遅れて足りなくなった外野手を補うためにジャイアンツから派遣された2人を蚊帳(かや)の外に置きたくないという、そんな気配りがあの位置を選ばせたのではなかったか。

侍ジャパンの野手で2番目に若い牧秀悟侍ジャパンの野手で2番目に若い牧秀悟この記事に関連する写真を見る

【イジられ役は牧秀悟⁉︎】

 そして、今回の日本代表"キャッチボール勢力図"、最大のサプライズは、野手最年長の中村悠平と牧秀悟の組み合わせである。

 キャッチャー3人のうち甲斐と大城は同学年で、この2人が組むのは自然な流れだと言える。しかしながら彼らより2つ上の中村が一番手前に来なかったことに、まず中村の意図を感じる。

 おそらく中村はこのチームのレギュラーは甲斐だと考えていて、だから甲斐に一番手前を譲ったのだろう。このチームのキャッチャーは3人なので、ほかにキャッチャーはいない。ならばと中村が組んだのが同じチームでもない、若い牧だったのだ。野手最年長の中村と野手で2番目に若い(最年少は村上)牧の組み合わせは、"キャッチボール勢力図"のセオリーからいえばかなり異質だ。中村はその理由をこう話した。

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