門田博光が語っていた死生観。晩年15年間100回以上顔を合わせ、最後の通話者でもあったライターが明かす、レジェンドとの会話 (6ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Sankei Visual

 しかし、山田氏との出会いから始まった物語の最後を、村田氏の話題で締めようと考えが固まってきたところ、思いがけぬ形でラストが決まってしまった。

 完成した原稿を読んでもらいたかった。いつもの場所でランチでも食べながら、何事にも独自視点を持った批評家でもある門田の忌憚のない感想を聞きたかった。だが、もうそれは叶わない。とにかく、あとは書いてまとめるのみだ。

 ただ、ICレコーダーに入った3週間前の門田の声を、まだ聴き返す気持ちにはなれない。気づけば、私にとって何よりの話し相手になっていた門田を失い、これからの時間をどう過ごしていけばいいのか......。日が経つにつれ増してくる寂しさをまだ拭えずにいる。

プロフィール

  • 谷上史朗

    谷上史朗 (たにがみ・しろう)

    1969年生まれ、大阪府出身。高校時代を長崎で過ごした元球児。イベント会社勤務を経て30歳でライターに。『野球太郎』『ホームラン』(以上、廣済堂出版)などに寄稿。著書に『マー君と7つの白球物語』(ぱる出版)、『一徹 智辯和歌山 高嶋仁甲子園最多勝監督の葛藤と決断』(インプレス)。共著に『異能の球人』(日刊スポーツ出版社)ほか多数。

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