平石洋介は西武の復権へ「チームをガラッと変えないといけない」。山川穂高、源田壮亮ら中堅に望むこと

  • 田口元義●文 text by Taguchi Genki
  • photo by Koike Yoshihiro

平石洋介インタビュー(後編)

 昨シーズン、西武のバッティングコーチを務めていた平石洋介は、ベンチで地団駄を踏んでいた。

「ここでエンドランを仕掛けられたら嫌やなぁ。来るか? 絶対にアカンぞ、アカンぞ......ああ! ほらもう、やられた!」

 やきもきしていた平石が、心のなかで絶叫する。オリックスとの対戦は、こんなシーンが多かったという。昨シーズンだけではない。中嶋聡が監督になった2021年から、当時ソフトバンクのベンチにいた平石は「心理戦で負けた試合が結構あった」と語る。

「監督が代わると、チームってこんなに変わるんやなって......。もちろん監督だけで勝てたわけではないでしょうけど、中嶋さんが監督になってから、選手はやらされているわけではなく、自ら戦う集団になってきたり、明らかに変わりましたよね」

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【オリックスとの差を埋めるには】

 2021年からパ・リーグ連覇を果たし、昨シーズンは26年ぶりの日本一となったオリックスは、平石の言葉から察するに西武の大きな道しるべとなりうる存在だ。

 監督が代わり、チームも変わる──それこそが、今の西武が求めていることでもある。昨秋からヘッドコーチとなった平石はチーム改革の担い手として期待されているからこそ、当時のヘッドコーチで今シーズンから監督となった松井稼頭央をはじめ、球団から呼んでもらったのだと肝に銘じている。

 ユニフォームが変わっても、平石の指導者としての根っこが入れ替わるわけではない。

 西武に来た当初からウォーミングアップの重要性を説く姿勢がそうだ。試合や練習に入るまでの準備を怠らなければ、本来しなくていいはずのケガを防げる。体が整えばメンタルも安定し、高いパフォーマンスを出せるかもしれない。それらは全て、長い現役生活へとつながる一助となるはずなのだ。

「チャラチャラしてそうに見えて、しっかりやっている選手もいるんです。でも全体的には、まだまだぬるいところがあるなって」

 その「ぬるさ」が試合中でも散見されていることを、平石はソフトバンクにいた頃から感じとっていた。

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