平石洋介は西武の復権へ「チームをガラッと変えないといけない」。山川穂高、源田壮亮ら中堅に望むこと (4ページ目)

  • 田口元義●文 text by Taguchi Genki
  • photo by Koike Yoshihiro

 山川穂高や外崎修汰、源田壮亮ら山賊打線の中心として2018年と2019年の連覇に貢献した主力が30代と、脂が乗ってきている。球団初の2000安打を達成している栗山巧、現役トップとなる454ホームランの中村剛也と、ベテランも打線のスパイスとなる。

 若手、中堅、ベテラン。それぞれの力の集結こそが必要なのだと、平石は訴える。

「若手にはどんどん出てきてほしいし、『これだ』という選手がいれば我慢して使うこともあるでしょう。でもね、クリ(栗山)やサンペイ(中村)たちが後輩たちの相談に乗ってくれたり、山川、外崎、源田らの中堅がもっとその気になってチームを引っ張ってくれれば、いい相乗効果がチームに生まれますよ」

【群雄割拠のパ・リーグを制するには】

 変革のシーズンが始まる。パ・リーグは今年も群雄割拠になるだろう。

 主軸の吉田正尚が抜けたと言っても、生え抜きが育つオリックスは3連覇への死角が少ない。覇権奪還を目論むソフトバンクは、日本ハムから近藤健介、ロッテからオスナ、阪神からジョー・ガンケル。そして、メジャーリーグから有原航平と大型補強を敢行した。

 昨シーズンにBクラスだったチームも侮れない。数年にわたり積極的に戦力を整えてきた4位の楽天も脅威だし、ピッチャー育成に定評のある吉井理人が新監督となった5位のロッテも侮れない。最下位だったとはいえ、「BIG BOSS」から「監督」に肩書を変えた新庄剛志率いる日本ハムも不気味である。

「僕が野球をするわけじゃないですけど、楽しみですよ。『どこにも負けたくない!』って、力が入ってしまうんですよね」

 雌伏の1年を経てヘッドコーチとなった平石の言葉に、精魂が漲る。

 今シーズンの西武は、もう山賊打線に頼ることはない。盤石な投手陣に加え、攻撃も少しずつ隙が埋まっていくはずである。

 なにより、新監督の松井自ら変化を宣言し、チームも一枚岩となって戦おうとしている。

 だからきっと、西武は生まれ変わる。

おわり


平石洋介(ひらいし・ようすけ)/1980年4月23日、大分県生まれ。PL学園では主将として、3年夏の甲子園で松坂大輔擁する横浜高校と延長17回の死闘を演じた。同志社大、トヨタ自動車を経て、2004年ドラフト7位で楽天に入団。11年限りで現役を引退したあとは、球団初の生え抜きコーチとして後進の指導にあたる。16年からは二軍監督、18年シーズン途中に一軍監督代行となり、19年に一軍監督となった。19年限りで楽天を退団すると、20年から2年間はソフトバンクのコーチ、22年は西武の打撃コーチとなり、23年に西武のヘッドコーチに就任した。

プロフィール

  • 田口元義

    田口元義 (たぐち・げんき)

    1977年、福島県出身。元高校球児(3年間補欠)。雑誌編集者を経て、2003年からフリーライターとして活動する。雑誌やウェブサイトを中心に寄稿。著書に「負けてみろ。 聖光学院と斎藤智也の高校野球」(秀和システム刊)がある。

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