栗山英樹監督が語るWBCでの選手起用論。「先発投手は4人で十分。5人目の先発は力があるとわかっていても選ばない可能性もある」 (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Igarashi Kazuhiro

── ということは、準決勝は山本投手ではなく、ダルビッシュ投手の可能性も......。

栗山 だから、気が早すぎますって(笑)。準々決勝は3月16日の東京ドーム、準決勝はアメリカに移動して19日か20日......少し間が開くので、いろんな幅ができる可能性がありますからね。球数のこともあるし、東京ドームの準々決勝で3人の先発ピッチャーを3イニングずつ突っ込んじゃうかもしれない。

 決勝までいけば、投げられるピッチャーを1イニングずついってもらうことだってあるかもしれません。先を計算してその前で負けてしまっては何にもなりませんからね。チームは生きものだし、だからこそ、この選手が今は元気なのか、弱っているのかを間違わずに見極めることが監督としての勝負だと思っています。選手をグラウンドへ送り出せば、あとは僕の周りには野球をよく知っているコーチ、スタッフがたくさんいますから。

【先発投手は4人で十分】

── 1次ラウンドは3月9日から12日までの4連戦です。中国、韓国、チェコ、オーストラリアの順番で、準々決勝が16日。時差のあるアメリカに渡って準決勝は19日か20日のどちらか、決勝が21日です。となると1次ラウンドで韓国戦に投げたピッチャーを、中5日で準々決勝に起用するのか、あるいは中8、9日で準決勝に回すのか。

栗山 球数が60球なら、中5日で準々決勝の可能性はあります。1次ラウンドでは韓国戦が大事になってくるのは間違いないので、そこの流れをどう考えるか。中国戦に投げて準々決勝に向かう考え方もありますが、いずれにしても先発ピッチャーはそんなにたくさんは必要ないでしょう。

── 4人、ですかね。

栗山 4人で十分でしょう。問題は球数制限があるなか、先発はイニング頭からいけますが、セカンド先発(2番手)はイニング途中からいく。それがあまりうまくないピッチャーもいますからね。決まった時間に向けて準備をしていかないと力を発揮できないタイプにセカンド先発は務まりません。

 この前の秋の強化試合でも、ブルペンからはそれが難しいピッチャーはいると報告を受けています。だからピッチャー陣は先発を4人選んだら、5人目の先発は力があるとわかっていても選ばない可能性もある。セカンド先発のできるタイプを優先させて、先発は4人で勝負するとハラを括るのは難しい決断ではありますが、たくさんいる代表候補の先発ピッチャーたちには、その4枠を自力でもぎ取るんだという気持ちでいてもらいたいと思っています。

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