栗山英樹監督が語るWBCでの選手起用論。「先発投手は4人で十分。5人目の先発は力があるとわかっていても選ばない可能性もある」 (3ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Igarashi Kazuhiro

── 先発4人、あとは......。

栗山 セカンド先発としてブルペンに入るグループは3つにわかれていて、セカンド先発、1イニングを投げるショートリリーフ、その両方ができる人......ピッチャーは最低14人を選ばなければならないレギュレーションですから、先発の4人以外には10人。抑えについてはまだ決めなくてもいいと思っています。

 抑えができるピッチャーはたくさんいますからね。湯浅(京己)もそうだし、ダルもWBCで経験があるし、由伸もリリーフをやっていた。翔平だって......先発もキツいけど、最後を託されるのも相当キツい。もちろん、そういう起用法を考えるピッチャーについては、事前にそれぞれのチームと相談してからになりますが。

【日本のプロ野球は過渡期】

── 野手についてはいかがでしょう。監督は1年前、センターラインが絶対的に大事だとおっしゃっていました。今、じつはそこが一番見えにくいんですが......。

栗山 ここまで来て、誰が見てもセンターラインのこのポジションはこの人に任せようというふうになってないことが、僕にとっても驚きです。それは今の日本のプロ野球が過渡期であることを象徴しているというふうにも考えられる。きっと本当のスーパースターが生まれる前夜なんです。キャッチャーなら城島(健司)や阿部(慎之助)、二遊間なら(宮本)慎也とか、(坂本)勇人もそうだし、センターなら柳田(悠岐)が歳を重ねてどうなのか。今は誰が選んでも満票入るセンターラインではない、ということは事実だと思っています。

── ならば監督は何を重視してセンターラインを組みますか。

栗山 そこはピッチャーが2点に抑えることを優先して考えるなら、守りだけでセンターラインを固める手もあると思います。3点はセンターライン以外の選手で取りにいくということですよね。ただ、ビハインドの展開になった時、攻撃的なメンバーが揃っていないと一気呵成に反撃できませんから、そこも難しい。

 しかも守りというのは100パーセントではないし、本当に守りだけという選手は限られた数のなかでは選びにくくなります。一発勝負の代走でスタートを切れるとか、確実にバントを決められるとか、絶対に1点が欲しい時に代打で仕事ができるとか、いくつものポジションを守れるとか、何かしらのプラスアルファがないと、メンバーが30人だとしても、入れるのは難しい。

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