栗山英樹監督が語るWBCでの選手起用論。「先発投手は4人で十分。5人目の先発は力があるとわかっていても選ばない可能性もある」 (4ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Igarashi Kazuhiro

── なるほど......では今までジャパンを背負ってきた、経験値の高い選手についてはどうお考えですか。

栗山 菊池(涼介)、勇人、柳田、菅野(智之)もそうだし、マー君(田中将大)もそうかもしれない。ジャパンの中心を担ってくれた選手の年齢が上がってきて、それに若い選手が追随する形でその差は縮まっていても、まだ追い抜くところまではいっていない。だから勢いを優先して若い選手を選ぶのか、実績を大事にして経験値の高い選手を選ぶのか、そこについての正解はありません。だからこそ、最後は魂なんです。誰よりも勝ちたくて誰よりもアメリカをやっつけるんだという魂。こういう野球人生を送るんだという熱さのあるなしは年齢とかは関係ない。ただ、そこについてはこの1年、まったく見極められなかった......。

── えっ、見極められなかった?

栗山 そこは正直に言います。何しろ接点を持てませんでしたからね。新型コロナウイルス対策でグラウンドへ下りられないし、選手と話ができない。何しろこの11月の強化試合で初めてゆっくり話をした選手がたくさんいたんですから......僕が一番知りたかったこと、ほしかったものはこの1年、得られないままでした。

── となると、魂のあるなしの見極め、どうしましょう。

栗山 どうしようか(笑)。もちろん集められるだけの情報は集めました。この選手はどう言ってるのとか......だけど僕はいろんな人から「彼には魂を感じない」と聞かされていた何人もの選手と話をしましたが、そう言われている選手たちもこちらの想いを真正面からぶつけると、ちゃんと返してくれるんですよね。だから僕は先入観を捨てるところから始めないといけないと思っています。

【大谷翔平をレフトで起用?】

── 絶対的にここは動かさない、何があっても心中しようと思えるのはDHの大谷選手、サードの村上宗隆選手、ライトの鈴木誠也選手ですか。

栗山 外野手はセンターが決まらない難しさがあるなかで、右バッターの誠也がライトに入ってくれたことはよかったと思っています。あとは村上も動かさないでしょう。翔平は普通に考えればDHかもしれないけど......。

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