栗山英樹監督が語るWBCでの選手起用論。「先発投手は4人で十分。5人目の先発は力があるとわかっていても選ばない可能性もある」
侍ジャパン・栗山英樹監督 新春スペシャル・インタビュー(後編)
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【今回WBCのテーマは?】
── 過去4度のWBCでは、準決勝を勝った第1、2回大会は優勝。優勝できなかった第3、4回大会は準決勝で敗れています。オリンピックも含めてジャパンの鬼門となってきた準決勝ですが、栗山監督は今回、準決勝からの逆算をするお考えはありますか。
栗山 準決勝からの逆算をするつもりはありませんが、準々決勝、準決勝は絶対に勝ち抜かなければ決勝にいけないというふうには思っています。
── 大事にするのは準々決勝と準決勝。
栗山 そういうふうには言いたくない(笑)。ただ事実として、そこを抜けなければ決勝には行けないということはあります。最後までいけば、必ず何かを起こせると思っていますから......僕はアメリカをやっつけたいんです。憧れて戦うわけじゃない。あのすごいメンバーに勝ってやると思っていて、それが日本の野球にとって大きな意味を持つと思っています。そのためには(アメリカが勝ち上がってくる前提で)準々決勝を抜けなければアメリカと戦えないし、準決勝を勝てなければアメリカにも勝てていないことになります。
── 準々決勝と準決勝というのは負けたら終わる。まして準決勝は、準々決勝で勝った直後に渡米してすぐ、慣れないマイアミの球場で戦わなければならない。その大事で難しい試合を託すのは誰か、というイメージは必要ですよね。
栗山 もちろんです。
── それはすでにメジャーで絶対的な力を示しているダルビッシュ投手なのか、あるいはその力をこれから世界に示さなければならない山本由伸投手なのか、どちらでしょう。
栗山 僕はこのWBCにはいくつかのテーマがあると思っていて、そのなかにはメジャーを圧倒できる次代の日本のスターをつくるということもあると考えています。同時に、歴史というものは勝者の歴史なので、勝たなければやったことが伝わらない可能性もあります。もちろん由伸や(佐々木)朗希の状態がよければそこでいくべきだけど、2人を上回るピッチャーがいれば躊躇すべきでないという考え方もあります。野球は勝ちにいかなきゃいけないわけで、日本野球の未来のための舞台ではあるけど、ひとりの選手の未来のための舞台ではない。
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