山田陽翔が明かす5位指名不本意説の真相。「常に崖っぷちの気持ちでいますし、ゼロからやるつもりです」 (2ページ目)

  • 沢井史●文・写真 text & photo by Sawai Fumi

 ずっと張り詰めた空気のなかで、固まってしまった表情を簡単に崩すことができなかった。ただ、入団を渋っていたのではないかという声に、山田は即座に反論した。

「それは絶対にないです。今年は高校生の右投手は少ないと言われていたなか、指名していただいてものすごく光栄でした。それよりもライオンズに縁を感じました」

 近江のある滋賀は、西武の前オーナーの地元ということで、ライオンズのロゴマークをよく目にする。県内には中部から北部の地域に西武グループの近江鉄道という電車が走っており、近江高のある彦根市に本社がある。実際、近江野球部との関係も深く、近江鉄道が運営するバスを使用して遠征や大会に向かっていた。

ドラフトから目標が明確になった

 5位指名に対し、ドラフト会議直後の会見では「これが今の自分への評価」と冷静に受け止めていたが、あらためて今、山田は5位という順位をどう思っているのか。

「あのあと『5位は不本意』みたいなことを、僕が言っていたような記事があったんですけど、そんなことひと言も言ってないんですよ(苦笑)。たしかに、順位は高いほうではなかったですけど、プロに入れば順位は関係ないですし、見返すというか、それ以上の活躍をするしかないと思っています」

 ドラフト当日は、取材を終えて帰宅すると、地元に住む同級生が自宅に祝福に来てくれたという。しかもライオンズカラーの青い花束をもらい「めちゃくちゃうれしかった」と振り返る。

 とはいえ、緊張の1日から解放され、ひとりの時間になってからも、特別な感情を抱くことはなかった。

「よくドラフトを"運命の日"って言うじゃないですか。でも僕は、そんなふうにはまったく思っていなかったんです。ドラフトは人生を決める日ではあるんですが、僕はあの日から目標が具体的になったというか、『やるしかない』という気持ちしかなくて。あの日の夜は、細かいことがどうというより、頑張ろうとしか思えなかったですね」

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