王者奪還へ、巨人がドラフトで狙うべき4つのポイント。現三軍コーチの息子は日本ハム・伊藤大海も認めた逸材 (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

優先すべきは変化球と制球力

 投手については、かつてはスピードのある選手を探して、変化球とコントロールはプロで教えればいい......これが"定説"だったように思うが、私は逆だと考える。

 変化球とコントロールはすでに身につけていて、プロの食事とトレーニングで "スピード"を強化する投手は多い。とくに最近は、そのケースが多いように感じる。そういうこともあり③のような表現をしたのだが、昨年ドラフト3位の赤星優志などはその典型だろう。

 今年は左ヒジの故障などで不本意な結果に終わった森下瑠大(京都国際/180センチ・75キロ/左投左打)だが、順調だったら1位重複もあった実力者だ。

"現在地"が見定めにくい今のうちに2位か3位で獲っておいて、時間をかけて治療・リハビリすれば、近い将来「やっぱりあの時獲っておいてよかった!」と、ニッコリ顔を見合わすことになろう。2年目のローテーション投手・山崎伊織の好例が、直近にあるではないか。

 ここ一番の投げっぷりと面構えに「栗林良吏(広島)」の勇姿が重なる関根智輝(ENEOS/183センチ・87キロ/右投右打)は、大久保秀昭監督に"野球"と"人間"を叩き込まれているのが信用できる。

 無名でも、北洋大(旧・苫小牧駒澤大)の後藤晟(178センチ・81キロ/右投右打)は2年時にはエース伊藤大海(現・日本ハム)を上回るほどの投球内容を披露し、伊藤が絶賛したスライダーのキレとコントロールは健在だ。ちなみに、父は現在、巨人で三軍打撃コーチの後藤孝志氏[平田3]である。

 ④については、中山の競争相手というよりも、将来、ともに二遊間を組む相方と考えてもいい。林琢真(駒澤大/二塁手/174センチ・74キロ/右投左打)の圧倒的守備範囲と敏捷性は大きな魅力だが、1位を含めた上位で消える可能性がある。

 ならば、友杉篤輝(天理大/遊撃手/172センチ・70キロ/右投右打)のスピードと精度を兼ね備えたフィールディングに走塁能力。さらに意外な長打力を秘める "小力"も魅力だ。

 2年連続セ・リーグ優勝を逃した巨人。ファンでなくても、それはあまりにも寂しいものだ。王者は常に「憎まれ役」にたとえられるほどの強者でなくてはならない。

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