小澤怜史の先発抜擢に山崎晃大朗の2番起用...独走ヤクルトを支える高津流・適材適所「起用すれば、あとは祈るだけ」 (4ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Sankei Visual

 塩見、山崎のスピードは脅威だ。山崎の内野安打で相手が処理にもたつき、一、三塁になったケースを何度も見たことがある。塁上にスピードのあるふたりが残ったところで、相手は山田、村上、サンタナのクリーンアップを迎えなければならない。それだけでも相当なプレッシャーがかかるのは容易に想像がつく。

 現在2番打者でいることについて、山崎はこう語った。

「塩見は攻撃力と機動力があるので、僕が簡単にフライを打ち上げたりして進塁させられないバッティングをしていると、山田さんや村上にいい形でつながっていきません。そういう意味で難しい打順ですけど、このメンバーに挟まれているというのは、醍醐味というか、考えて野球ができる打順だと思っています。もちろんプレッシャーはありますけど、今は充実しています」

 そして高津監督は、今も選手の一番輝ける場所を探していると語る。

「これは今年だけじゃなく、ずっと......ですね。選手たちが力を発揮する場所はどこにあるのか。とくに若い選手たちは、何かいい方法がないかずっと見ています」

 そういう意味では、7月上旬にコロナ禍による大量離脱は、今後の見極めのいい機会になったのではないだろうか。

「チームが首位にいるなかで、二軍にいる若い選手が一軍でプレーすることはなかなかないことですからね。選手たちにとってはチャンスであり、こちらとしても、今後どのような目線で彼らを見たらいいのかという材料になりました。8月、9月とどうなるかわからないですけど、良くも悪くも選手の動きは参考になりました」

 高津監督は今できる最善の適材適所を探しながらも、3年先、5年先を見据えて選手たちを見ている。長岡の打順もいつまでも8番ではないはずだ。そのなかで、今後も変わることがないと断言するのが、村上の4番である。

「僕の要求は高いですし、厳しいことも言いましたが、ようやく『ムネ、おまえは4番だ』と言える感じがしますね。チームの事情で4番から外すことは絶対にしません」

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