小澤怜史の先発抜擢に山崎晃大朗の2番起用...独走ヤクルトを支える高津流・適材適所「起用すれば、あとは祈るだけ」 (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Sankei Visual

 前半戦、救援陣の防御率はリーグ2位の3.08。9回のスコット・マクガフは固定されているが、そのほかのイニングは柔軟な対応で運用してきた。そのなかで「リリーフ投手は使い方によって生きる、生きないがあるので」(高津監督)と、左腕・田口麗斗に見つけたのが"火消し"のポジションだった。

 田口は前半戦27試合、19イニングに登板して自責点はわずか1。5月24日の日本ハム戦(神宮)では、無死満塁の大ピンチでマウンドに託されると無失点に抑えてみせた。

 試合後、田口はこんなコメントを残している。

「中継ぎというポジションは、終盤になると1球で勝負が決まってしまいます。とくに今日は、1球で2、3点を失うので、三振はとれましたが、1球で決まれば最高なので、しっかりゾーンで勝負しました」

 遡ること4月2日のDeNA戦(神宮)では、同点の6回表一死満塁の場面で登板。関根大気を1球で二塁ゴロ併殺打に打ちとる見事なピッチングを見せた。どんな状況でもストライクゾーンで勝負できる強いハートは、火消し役にうってつけである。

若手育成のマネジメント術

 若手選手の育成もマネジメントのひとつで、今年はその成果が実となりはじめている。高卒3年目の遊撃手・長岡秀樹は、その先頭を走る選手だ。新型コロナウイルスの陽性反応で離脱期間があったが、前半戦は87試合に出場。打率.257、7本塁打、38打点の成績を残した。高津監督が長岡について次のように語る。

「オープン戦からいろいろな選手を見て、開幕戦からスタメンで使うことになったのですが、一種の賭けではありました。彼の特長はブンブン振り回すというか、強く振れることなんですけど、まだ選球眼だったり、守備だったり、できない部分がたくさんありました。それが試合をこなすことで、すごい勢いで成長してくれている。(内山)壮真もそうですけど、『まだ無理かな』『ちょっと早いかな』と思いながらもここまでやっているので、慣れや経験はどんな選手にも必要なんだと実感しています」

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