小澤怜史の先発抜擢に山崎晃大朗の2番起用...独走ヤクルトを支える高津流・適材適所「起用すれば、あとは祈るだけ」

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Sankei Visual

 リーグ連覇を目指すヤクルトは、優勝マジックを「41」として前半戦を折り返した。前年王者としての戦いぶりに、思わず「強い」とつぶやくこと数知れず。とくに、高津臣吾監督の選手起用を見れば、チームの歯車がかみ合う理由がよくわかるのだった。そこで監督のマネジメントのひとつである"選手の適材適所"について考察してみた。

前半戦を独走首位で折り返したヤクルト高津臣吾監督前半戦を独走首位で折り返したヤクルト高津臣吾監督この記事に関連する写真を見る

二軍の抑えを一軍の先発に起用

 6月26日、ヤクルトは巨人戦(神宮)を前に、育成2年目の小澤怜史の支配下登録と一軍合流を発表した。小澤は日大三島高(静岡)から2015年にソフトバンクにドラフト2位で入団するも、2020年に戦力外となりオフにヤクルトに入団。

 今シーズンは中継ぎとして、二軍で24試合に登板し1勝1敗8セーブ、防御率1.30。奪三振は27回2/3イニングで33個。被安打は9本しか許していない。

 一軍でも中継ぎでの起用かと思われたが、高津監督は「僕は先入観を持つのはよくないことだと思っています」と、当初から先発としての考えが頭にあったようだ。

「チームにどうしても先発がひとりほしかったので、誰がいいだろうと探っていて......(小澤は)ファームでクローザーをしていたのはもちろん理解していましたが、こうして自分の力で支配下のチャンスをつかんではい上がってきた。あとは、彼の適材適所を見つけてあげるのが僕らの仕事ですから」

 小澤のヤクルトでの初登板は、一軍登録のその日の3回表にいきなり訪れた。マウンドに送り出されたのは1対5とリードされた無死満塁の場面で、この大ピンチを無失点で切り抜けると、4イニングを2失点に抑えてみせた。

 高津監督は、4回表に岡本和真をショートゴロに打ちとり3アウトをとったところで、「長いイニングを投げさせてみたい」と続投を決め、同時に7月3日のDeNA戦(神宮)での先発を決めたという。

 その試合で小澤はプロ初先発初勝利。さらに19日の巨人戦(神宮)では6回無失点、7奪三振の好投で2勝目を手にした。

「先発させてみると、投げるスタミナもついてきましたし、空振りをとれる球もある。リリーフのほうがいいのかなぁと思う部分もありますが、先発が足りないチーム事情と今は先発がはまっているのでしばらくはこれで落ち着かせてみようかと思っています」(高津監督)

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