高木豊がセ・リーグ後半戦を予想。大失速した巨人の弱点と首位ヤクルトの対抗馬として阪神、DeNAを挙げた (2ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

阪神は10試合くらいが勝負

――次に阪神。開幕からつまずき、借金が最大で「16」まで膨れ上がりましたが、勝率5割まで巻き返してきました。

高木 ヤクルトとは逆の形で、開幕戦の大逆転負けの影響が出ましたね。「矢野燿大監督が開幕前に『辞める』と発表するからモチベーションが下がった」と言われるなど、一気にどん底まで落ちた。でも、もともと投手陣はいいですし、力のあるチームなのでこのままで終わらないとは思っていました。

 後半戦は最初の10試合くらいがすごく大事です。監督が辞めることが決まっている中で、完全にBクラスに沈んで目標がなくなると、モチベーションが上がってこなくなりますから。青柳晃洋という投手陣の柱もいますし、簡単には落ちないと思いますけどね。

――打線はどうでしょうか?

高木 選手は揃っていますね。中野拓夢と近本光司がいいですし、1番や2番で起用されている島田海吏も含めて足が使えます。そして4番の佐藤輝明、5番の大山悠輔を迎えられる。外国人助っ人は機能していませんが、足も使えて長打もある打線はバランスがすごくいいです。前半戦であれだけ巻き返してきたわけですから、後半戦でもう一度その勢いをつけられたら、リーグを大いに盛り上げてくれるでしょう。

――次に広島ですが、前半戦の戦いぶりはいかがでしたか? 

高木 自分も含めて解説者たちの下馬評はあまりよくなかったですが、すごくよくやっていました。まずは先発投手陣の充実。大瀬良大地、森下暢仁、九里亜蓮、床田寛樹、(ドリュー・)アンダーソンらが試合を崩さなかったですね。

 攻撃面では確実性を重視していました。犠打がリーグトップの88個であることからもわかるように、『得点圏に走者を進めて、あとは任せた』という戦い方でした。打線もつながりを見せていましたし、本当に善戦したと思います。

――秋山翔吾選手の加入も大きい?

高木 一気にチーム全体のモチベーションが上がったというか、野手は競争心が高まってチームが活性化した印象があります。何よりも、秋山の獲得に動いたことで「上位に行きたい、優勝したい」というチームの本気度が選手に伝わったんじゃないかと。投手陣も「より多く点を取ってくれるんじゃないか」と期待感が高まりますし、いろいろな部分に好影響を与えたと思います。

――後半戦でさらに調子を上げていくために必要なことは?

高木 中継ぎがちょっと手薄で不安が残ります。例えば、森浦大輔はボールが先行しがち。変化球が2球続けて外れたら、次に真っ直ぐというパターンができあがってしまっているので、ちょっと危険だなと。

(ニク・)ターリーという左腕の外国人助っ人をもっとうまく使ってもいいと思うんですけどね。球質はいいですし、彼が中継ぎの中心になってくると安定するんじゃないかと思っています。

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