高木豊がセ・リーグ後半戦を予想。大失速した巨人の弱点と首位ヤクルトの対抗馬として阪神、DeNAを挙げた (4ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

巨人の大失速の原因

――開幕前に高木さんにお話を伺った時も、「巨人は先発投手陣が弱点」と言われていましたね。

高木 そうなんです。エースの菅野は"らしさ"を見せることもあれば、その面影がまったくないようなピッチングをする時もある。メルセデスは不安定ですし、赤星は中継ぎに回った。ある程度安定しているのは戸郷ぐらいですよ。期待していただろう山口俊もまったく上がってこないですし、これでは戦えません。

――打線の状態はどう見ていますか?

高木 基本的にホームランで勝つチームなので、それが出ないと苦しい試合になります。苦しい中で1点をもぎ取れる器用さを持った打者はそんなにいない。

 あと、リーグワーストのエラー数(失策数はリーグワーストの61)からもわかるように守備がよくない。(アダム・)ウォーカーは打撃に比重をおくとしても春先は特にひどかったですし、バッテリーのミス、内野のエラーも多いです。

 今までの巨人にはホームランで派手に勝つイメージがあったと思いますが、守備もよかったんですよね。ミスがあっても投手陣がカバーしてくれていたのが、今はできないことが多い。それが引き金でゲームを壊してしまうことも目立つので、非常に苦しいと思います。

――どこにテコ入れするべきだと思いますか?

高木 ホームランを量産すること、一気に打率を上げることは難しいですから、やはり投手を含めたディフェンス面を立て直さないと。クローザーの大勢が頑張っているうちに、先発と中継ぎを整備したいですよね。これから夏場で疲れが溜まってくる時期ですからなおさらです。

――最後に、借金12で最下位に沈んでいる中日についてお願いします。

高木 ケガ人が多すぎます。石川昂弥や高橋周平、阿部寿樹もコロナで離脱。春先は(ダヤン・)ビシエドがまったくダメで、京田陽太が2度にわたってファームに落ちるなどいいところがなかったですね。コーチ陣でも、中村紀洋が一軍打撃コーチから外されたりと、チームが落ち着いていない印象です。

――ルーク・ワカマツ選手や、トレードでオリックスから移籍してきた後藤駿太選手などを一軍に昇格後にすぐにスタメンで起用するなど、選手のやりくりに苦労しているように見えます。

高木 今はチームの形を成していないというか......根尾昂が野手から投手に転向したことがその一例ですが、いろいろな部分でチームの形作りに追われていますよね。ただ、"1度壊す"という感じではなく、「建て替えではなくリフォームしている」という感じですね。

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