高木豊がセ・リーグ後半戦を予想。大失速した巨人の弱点と首位ヤクルトの対抗馬として阪神、DeNAを挙げた (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

DeNAは「台風の目」

――続いてDeNAは、昨年に続いて(タイラー・)オースティンと(ネフタリ・)ソトが開幕に間に合わず、コロナで離脱者もあったりとなかなか戦力が揃いませんでした。

高木 いまだ二軍調整中のオースティンは、右肘の手術で開幕後の4月にアメリカに帰国しましたが、「もっと早くやれなかったの?」って感じですよね。大型契約(3年総額8億5000万)を結んだ後にそういうことになると、白けてしまう。

 ソトは4月中旬に復帰してから一生懸命やっていますが、この2人が開幕にいなかったのはやはり痛かった。加えて、1番に固定しようとしていただろう桑原将志の状態も悪く、レギュラーが3、4人くらい抜けているような状態でのスタートでしたから、大輔(三浦大輔監督)もやりくりが大変だったと思いますよ。

 ただ、ここにきてやっと打線がつながるようになりましたし、さらにオースティンが一軍に戻ってきら、すごく嫌な打線になる。後半戦は期待しています。

――チーム防御率はリーグ4位の3.57ですが、開幕当初から徐々に改善し、7月の月間防御率は2.87と安定してきました。

高木 今は大貫晋一が中心で、左では今永昇太、濵口遥大、右では(フェルナンド・)ロメロもよくなってきている。先発陣が試合を作ってくれるので、つながりが出てきた打線とうまくハマれば、勝ちを拾っていけると思います。中継ぎ陣も、(エドウィン・)エスコバー、伊勢大夢、山﨑康晃、そこに差し込む田中健二朗などもいますし、充実してきましたよね。後半戦は"台風の目"になると思います。

――前半戦を5位で終えた巨人は、12球団最速で20勝に到達するなど開幕ダッシュに成功したものの失速。現在は借金5と苦しい状況です。

高木 先発投手陣は、戸郷翔征、菅野智之、(C.C.)メルセデスに加え、山﨑伊織、赤星優志、直江大輔、堀田賢慎といった投手を起用していました。半分が経験豊富な投手で、もう半分が若手という構成で最初は回しましたよね。

 序盤に今年初勝利を挙げる若手が何人か出てチームを勢いづけたことは確かですが、その勢いが続かないのは誰もがわかること。実績や経験がない選手が、1年間活躍を続けられることは稀ですから。

 山﨑や堀田などはトミー・ジョン手術も受けていますから球数を制限しますし、そこで中継ぎ陣に負担がかかった。その疲労が一気に出てきた印象です。クローザーの大勢がいなかったらと思うとゾッとしますね。

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