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サッカー日本代表の情報収集能力はそんなに高いのか 見過ごせない抽選会の中継での出来事

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

連載第71回
杉山茂樹の「看過できない」

 12月5日(現地時間)に開かれた2026年ワールドカップ抽選会。話題を集めたのは、FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長が、開催国アメリカのドナルド・トランプ大統領に平和賞を贈呈した一件だ。各方面から批判が集まったが、この模様を中継したNHKはスルーした。東京のスタジオで進行役を務めたアナウンサーも、解説役としてその傍らに座った山本昌邦日本サッカー協会技術委員長兼ナショナルチームダイレクター(ND)も、解説者である森岡隆三氏も、いっさい口をはさまなかった。

 ただ、サッカー関係者にとってはサッカーの枠を超えた取り扱いに困る話である。こちらについては深く追及するつもりはない。

 しかし、ことサッカー的な問題に関しては、厳しく指摘しなければならない。この番組内で、筆者としてはそれとは比較にならないほど大きな不満を覚える一件があった。

 日本がオランダと同じグループFに振り分けられることが決まった直後である。アナウンサーは「オランダとはワールドカップ本大会で戦ったことがありません。初めての対戦になります」と報じた。耳を疑わざるを得なかった。番組はそのまま進んでいく。訂正が入ったのは、しばらく経ってからだった。

「失礼しました。日本はオランダと2010年南アフリカ大会の初戦で戦っています」

 呆れるしかなかった。再び訂正が入る。

「日本がオランダと対戦したのは南アフリカ大会の2戦目でした」

 アナウンサー及び番組スタッフの勉強不足が露呈したと言えるが、それにしてもこれは基本中の基本、イロハのイだ。それを瞬時に訂正できないスタッフが番組を制作していることに、薄っぺらさを覚えると同時に、拍子抜けした。日本がワールドカップ本大会で戦った試合はわずか25試合だ。取材歴が浅いのなら、抽選会の前に目を通しておくべきデータである。

 そしてそれ以上に罪深いのは、この大きな誤りを即座に指摘できなかった、アナウンサーの傍らに座る2名だった。訂正する機会はいくらでもあったのに、それができなかった。ふたりには2010年6月19日、ダーバンで行なわれたオランダ戦の印象がないのか。少なくとも記憶に深く刻まれてはいないようだ。

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著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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