元巨人・村田真一が「これぞエース」と唸ったライバル球団の5人。「太く短い野球人生は強烈なオーラを放っていた」 (3ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Sankei Visual

川口和久(元広島ほか)

 私が現役の頃の広島は、「投手王国」と言われるほど好投手が揃っていました。北別府学さん、大野豊さん、佐々岡真司さん......なかでも川口和久さんが苦手でした。

 川口さんは1986年から6年連続2ケタ勝利を挙げ、最多奪三振のタイトルも3度獲得していますが、リーグ最多与四球も6度あるなど"荒れ球"が持ち味の投手でした。打者というのは、コントロールのいいピッチャーだと安心して踏み込んでいけるのですが、川口さんは「どこに投げてくるのかわからない」という怖さがありました。

 ストレートも速かったですし、ボールに勢いがあった。本当に嫌なピッチャーでした。僕のほかにも、川口さんを苦手にしていたバッターは多かったと思います。「巨人キラー」と呼ばれて、巨人戦の通算成績は33勝31敗。巨人戦で30勝以上挙げ、勝ち越している投手は平松政次さん(大洋/51勝47敗)、星野仙一さん(中日/35勝31敗)、石川雅規(ヤクルト/33勝30敗)、そして川口さんの4人だけだそうです。
※2022年7月14日現在

 その後、川口さんは広島初のFA権を行使して巨人に移籍することになり、バッテリーを組みました。高めのストレートが得意球で、変化球はカーブとフォーク。高低と緩急で勝負する投手でした。

 思い出すのが1996年、広島に最大11.5ゲーム差をつけられてから大逆転した「メイクドラマ」。セ・リーグ優勝を決めた時の胴上げ投手は川口さんで、キャッチャーは私。最高の瞬間を味わうことができました。

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