トヨタ自動車出身の選手はなぜプロで活躍できるのか。吉見一起が明かす「トヨタ流」育成術

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Koike Yoshihiro

 社会人野球のトヨタ自動車出身のルーキー・中村健人(広島)が外野守備で超美技を連発している。中村をはじめ、これまでトヨタ自動車は多くのプロ野球選手を輩出してきた。おもな選手は以下になる。

◎投手
高橋建(元広島ほか)、安藤優也(元阪神)、金子千尋(日本ハム)、吉見一起(元中日)、大谷智久(元ロッテ)、祖父江大輔(中日)、栗林良吏(広島)、富山凌雅(オリックス)

◎捕手
古田敦也(元ヤクルト)、木下拓哉(中日)

◎内野手
源田壮亮(西武)、藤岡裕大(ロッテ)

◎外野手
平石洋介(元楽天)、荻野貴司(ロッテ)、荒波翔(元DeNA)

 トヨタの生産の基本となっている「かんばん方式」ではないが、少数精鋭で効率的にプロ選手を出しているイメージがあるが、独自の仕組みがあるのだろうか。トヨタ自動車出身で、中日のエースとして一時代を築き、昨年よりトヨタ自動車野球部のテクニカル・アドバイザーを務めている吉見一起氏に聞いた。

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部員の9割がプロ志望

── 金光大阪からトヨタ自動車を経てプロ入り。球界を代表する投手になった吉見さんですが、社会人時代はどのような教えを受けていたのですか。

「僕の場合は、投球フォームについて指導されることはほとんどありませんでした。ただ、上半身が突っ込むクセがあり、それを自覚していたので、下半身主導で投げることを意識して、監督やコーチにしっかりできているか見てもらっていました」

── プロを目指す選手は多かったですか。

「僕の在籍当時は、部員の9割がプロ志望で、しかもドラフト上位でプロ入りを目指す選手が多かったです。トヨタの選手は、最初の1年間はフィジカル面での土台づくり、体づくりの指導を受け、ランニングや体幹トレーニング中心のメニューをこなします。中日に入団した時が落合博満監督で『練習はきつい』と言われていたのですが、社会人時代にしっかり体力をつけていたので、プロに入って戸惑うことはなかったです」

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