2022.03.30

「MLBの一流選手は究極の手打ち」。大谷翔平や鈴木誠也をメジャー流の打撃理論で根鈴雄次が分析

  • 栗田シメイ●取材・文 text by Kurita Shimei
  • 撮影●小川正行 photo by Ogawa Masayuki

ラオウを覚醒に導いた男
根鈴雄次インタビュー 後編

(前編:ラオウ杉本を覚醒させた「鬼ダウンスイング」秘話>>)

 ラオウこと杉本裕太郎を覚醒に導いた「鬼ダウンスイング」は、バットを横ではなく、上から下に縦軸で振り抜くスイング。それを指導した根鈴雄次氏はMLBの3Aや日本の独立リーグを含め、5カ国でプレーしてきた自身のキャリアを通じて、メジャー流の打撃理論をひたすら追求してきた。

 インタビュー後編では、根鈴氏から見た大谷翔平の打撃、アメリカで求められる打者像、日本とアメリカの打撃理論の違いなどについて聞いた。

バットを縦に振るメジャー流のスイングで、昨季にホームランを量産した大谷 Photo by AP/アフロバットを縦に振るメジャー流のスイングで、昨季にホームランを量産した大谷 Photo by AP/アフロ この記事に関連する写真を見る ――根鈴道場では、「日本人のMLB本塁打王を出す」という非常に高い目標を掲げていますね。

根鈴 もしかしたら今季、大谷翔平選手が獲ってしまうかもしれませんが(笑)。ただそうなったら、僕の考えてきたアプローチが正しかったとも言えます。大谷選手のバッテイングは見事なまでの"縦スイング"ですよね。

 象徴的だったのが、昨季の25号のホームランです。インコースのスライダーを、バットを縦にして振り切って左中間に放り込んだ。あれには驚きました。バットを横に使っていたら、絶対にあの方向には飛ばない。縦スイングの天才ともいえるマイク・トラウト選手の影響も大きいんでしょうが、明らかに日本にいた頃とはスイングが変わってきていると感じました。

――昨季の大谷選手の打撃をどう見ていましたか?

根鈴 大谷選手の何がすごいって、まずはメジャーの"化け物"たちの中に入っても体でまったく引けをとらないこと。これは、今までの日本人選手になかったことで、どんどん「MLBの体」になっている。昨季は、前半戦と後半戦で別人のように打撃が変わりましたね。前半戦はセンターから左中間方向への本塁打も多かったのが、後半は右中間方向への本塁打を意図的に狙っていた。

 ただ、プルヒッターだと今のメジャーではホームラン王を獲れません。オールスターのホームランダービーの影響が大きかったな、と思います。辞退した選手は後半に数字を伸ばし、出場した選手は落としている。昨季はエンゼルスの成績も振るわなかったので、ホームラン王に狙いを定めて、それが悪い方向に出てしまったんだと思います。本来は、前半戦のように逆方向へも放り込めるほうが投手も怖いんですけどね。そのあたりは、本人が一番わかっていると思いますし、今季は修正してくると思います。