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臨時コーチ・赤星憲広が日本ハムナインに伝えた「走塁技術以外」の極意。新庄野球の全貌が見えてきた (3ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Sankei Visual

 日本ハムも走れるチームに──その筆頭が、4番候補にも挙がった五十幡亮汰だ。赤星氏は五十幡の盗塁について「スピードはあるが、スタートとスライディングがうまくなれば、もっと盗塁数は伸びる」と分析。指導を受けた五十幡はこう語る。

「走ってきた勢いが、最後のスライディングのところで落ちていると指摘されました」

バッテリーには盗塁阻止の極意

 また赤星氏は、「自分は走ることから野球に入った人間なので、足が守備や打撃にも直結するという考えです」と言う。日本ハムでの指導は走塁のみならず、打撃、バッテリー心理にも及んだ。

 新庄監督は「盗塁の技術以上に、どういった投手、捕手が走りづらかったのかを教えてほしかった」と、赤星氏招聘の真意を語った。裏を返せば、どうすればバッテリーは相手の盗塁を阻止できるかということにつながる。

 そこでバッテリーには「けん制が多い投手ほど走りやすかった」「投球のテンポを変えれば、走者は走りづらい」といったように、実体験をもとに走塁阻止についてのアドバイスを送った。

 昨シーズン、日本ハムは盗塁を157回企図され、123個の盗塁を許した。走塁阻止率.217は12球団ワーストだった。こうしたところにも、新庄監督の繊細さ、目指す野球が透けて見える。

 思えば昨年11月4日の監督就任会見で「ノーヒットで点を取とりたい」という発言があったが、その準備は着々と進められている。そして、その得点を全力で守り切きる。「新庄野球」の全貌が少しずつ明らかになってきた。

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