平石洋介が明かすソフトバンク退団の真相。「必要とされている間はホークスで」から考えが変わった理由 (4ページ目)

  • 田口元義●文 text by Taguchi Genki
  • photo by Sankei Visual

「中に入ってもわからん! 今回お話をいただいた場所でやっていれば、また違った角度でホークスを見られたかもしれないですけど......結果を残しているからといって、すべてがうまく機能しているわけじゃない。どの球団も苦労のなかで戦っているってことを知れたことはプラスでした」

 求めていた答えは出せなかった。ただ、平石洋介という指導者がソフトバンクにいたことの答え。それを示してくれたのも、ほかならぬソフトバンクだった。

 シーズンの全日程が終了した翌日。平石は球団会長の王貞治に呼ばれた。時間にして30分ほどだったが、自分のためだけに席を設けてくれた、その厚意が何よりもうれしかった。この機会を逃すまいと「会長と記念撮影しましたよ」と、平石は童心に返ったように教えてくれた。

 王会長だけではない。多くの選手が平石の退団を惜しんだ。

「本当に辞めてほしくないです」
「来年から俺、どうすればいいんですか?」
「最後、ご飯に連れてってください」

 後ろ髪をひかれるような心の叫びが連なる。何人かの選手は、プレゼントを用意して平石を送り出してくれたほどだった。思い出すだけで、目じりが下がる。

「辞めるとなった時に、そう言ってくれる選手がいたっていうのがうれしかった。『ホークスに来てよかったな』って思わせてもらいました」

 自分で選んだ道に、後悔はない。ただ、濃密な2年を過ごした場所への愛着はある。ソフトバンク、そして福岡のファンと街に伝えるように、平石は言葉を結ぶ。

「めちゃくちゃ寂しかった、離れるのが」

後編につづく

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る