平石洋介が明かすソフトバンク退団の真相。「必要とされている間はホークスで」から考えが変わった理由 (3ページ目)
ただ、平石からすればタイミングが悪かった。道半ばで一軍を離れるのは責任の放棄になるのではないか──と悩んだのである。
「『一軍がすべて』なんて考えは一切ないんです。実際、二軍と三軍もホークスの土台として機能しているのは間違いないですし、今回いただいたオファーもかなり重要なポストでしたから。ただ楽天で監督をやった翌年に、一軍のコーチとして他球団に行くことに関して、僕のなかではものすごく葛藤があったなかでの決断だったんです。そういう経緯があっただけに、次の年(2022年)は一軍でうまくいかなかったことを整理して、改善させたい気持ちのほうが強かったんです」
球団とは胸襟を開いて話し合った。
「気を遣わんでください。僕に対してどういう考えでいてくれるか話してください」
平石がそう切り出し、想いをぶつける。球団も駆け引きせず意向を伝えてくれた。
新監督の藤本博史が「残留を希望している」というのもそうだ。去年まで二軍監督だった藤本は、年下である一軍打撃コーチの平石にも気さくに意見を求めてくれるような指導者だった。球団からその話を聞かされた際には、「選手に対しても親身に指導する藤本さんとなら、うまくパイプをつないでいけるんじゃないか」と、好意的に受け取ることもできた。
それでも、平石は自分に嘘をつけなかった。
プロで指導者になった時から「自己保身のため立場にしがみつきたくない」と誓い、楽天の監督を解任された際も二軍統括のオファーを断り、退団した経緯があったほどだ。
「プロ野球に限らず、組織ってどこも同じだと思うんです。自分が必要とされる場所で働いて、その組織からの要望をどうしても飲めなかったら辞める。そういうことも球団には伝えたうえでの結論でしたから」
平石はソフトバンクを離れる決断を下した。
【王貞治会長との記念撮影】
「常に優勝争いができているのはなぜか?」
その興味からコーチを引き受けて2年。「(ソフトバンクの)強さの根源は見えたか?」と訊くと、平石は不敵に笑い、即答した。
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