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平石洋介が明かすソフトバンク退団の真相。「必要とされている間はホークスで」から考えが変わった理由 (2ページ目)

  • 田口元義●文 text by Taguchi Genki
  • photo by Sankei Visual

【一軍コーチとしてやり残したこと】

 監督とコーチ、双方を経験している平石だからこそ見えるものがある。楽天の監督時代、采配を振る過程で迷いは何度もあった。スタメンや試合中のサイン、選手起用......それらの最終決定は「監督である自分が行なうべき」との理念があったが、信頼するコーチ陣から強い要望や進言があれば優先することも当然あった。

 しかし、その過程で采配を迷って信念を曲げてしまい、「自分の主張を押し通すべきだった」と、自戒の念に駆られたこともなかったわけではない。

 身を挺してチームを統率していかなければならない。そういったトップの心情を理解しているからこそ、コーチとして選手たちを導ききれなかった昨シーズンを、平石は悔やんでいるのだ。

 ソフトバンクのコーチとなってから、選手と向き合い、練習では彼らの機微に目を凝らす。その姿勢を貫いてきた。

 ひと目で「モノが違う」と唸ったキャッチャーの栗原陵矢を、外野で経験を積ませることを監督に提案し、練習でも可能な限りつき添った。走力を生かすために逆方向へ転がすバッティングに注力していた周東には、「打席では最初から当てにいかず、しっかりスイングしよう」と促し、飛躍のきっかけを与えた。

 たった2年の短い期間でも、平石は選手や球団スタッフたちと腹を割ってつき合えてこられた自負があった。だからこそ「もっとできたんじゃないか......」との悔恨が残り、2022年はその穴を埋める作業に精力を注ごうと考えていた。

「必要とされている間はホークスで」

 これは、平石がソフトバンクのコーチとなってから言い続けてきたことだ。だから、葛藤があった。

【一軍がすべてという考えはない】

 球団から告げられた2022年の平石のポストは、下部組織での指導者だった。

 ソフトバンクのコーチを引き受けた要因のひとつである「安定して結果を残せる理由」を、より深掘りできるかもしれないし、育成部門に触れることで、純粋に「指導者としての財産になる」ともよぎった。

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