移籍しにくい日本のFA制度。2度FA宣言の谷繁元信は「選手に甘えが出てくるシステムは変えるべき」 (5ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

【人的補償の制度はいらない】

 プロ野球は超のつく競争社会だ。高いレベルで競争が続けられるから、試合=興行の魅力は高まり、選手は高額な年俸を得られ、球団は収益を増やすことができる。もちろん選手へのセーフティネットも必要だが、ビジネスの前提を考えると、FA制度はアップデートが必要な時期にきている。

 谷繁氏が言う。

「もっとFAの中身を議論したほうがいいと思います。そもそも日本のFAは移籍しにくい制度ですよね。選手の年俸によってA、B、Cでランクづけされ、補償の必要が生まれる。まず、人的補償はいらないと思います。

 今の制度では年俸が高騰して球団の経営を圧迫するなら、正当な金額になるようにするべきです。選手がもっと市場に出て、球団が正当な額でオファーを出す。オファーがこなければ、仕方ないじゃないですか。市場に出た選手を何球団か獲りにいき、選手はオファーされた条件を並べて一番行きたいところに行く。単純にそれでいいと思います」

 選手はどうすれば自身を高めることができ、同時に、どのような球界のあり方が未来の発展につながっていくのか。

 歴代最多の3021試合に出場した男の言葉には、よりよいプロ野球を作っていくためのヒントが詰まっている。

(第3回につづく)

プロ野球、魔球の使い手たち(9人)

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