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DH制はリリーフ陣の負担を軽減⁉︎
ブルペンマネジメントに見るセ・パの差

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki
  • photo by Koike Yoshihiro

特集『セ・パの実力格差を多角的に考える』
第12回 リリーフマネジメント術

 DH制の導入によって、投手の負担が軽減される──。これはセ・リーグへの導入を提案した巨人が主張したことだが、はたしてどれほど軽くなるものなのか。当然、試合で打席に立たない、となればケガの危険がなくなり、打撃練習の必要もなくなり、ピッチングに集中できることはファンにもわかるだろう。

昨シーズン、チーム最多の54試合に登板した中日・祖父江大輔昨シーズン、チーム最多の54試合に登板した中日・祖父江大輔 一方でセ・リーグの他球団からは、DHが入ると切れ目のない打線になり、かえって投手の負担は重くなるという反論もあったというが、じつのところはどうなのか──。現役時代にセの巨人からパの西武に移籍し、投手として両リーグの野球を経験した鹿取義隆氏に聞く。

「まずピッチャーの負担に関しては、もうキャンプから違ってくる。パ・リーグは投内連係とか、チームプレーの練習が終わったらもう投げるだけ。それがセ・リーグの場合、投げる前に走塁、バント、バスター、バッティングもやらなきゃいけない。試合というより練習から、投げること以外に時間を取られる。それがセ・リーグのピッチャーの負担だと思います」

 単に試合で打席に立つ、立たないではなく、長い時間をかけての準備段階から違いがある。その点、パ・リーグのほうが負担は軽いと言えるわけだ。では逆に、打線にDHが入って9人攻撃になり、息を抜けなくなる、ということはあったのだろうか。

「それはたしかにあって、僕自身もまったく気が抜けなくて苦しかった。巨人の時は『9番ピッチャー、そこまでいけば何とかなる』って思えていたから。もちろんそこで安心しちゃいけないんだけど、そう思って投げるのと、まだまだ続くのか......と思って投げるのは違うから。嫌でした、最初の頃は(笑)。しかも、パ・リーグのバッターは全員、振りまくってくるからね」

 一概には言えないが、DH制が負担を重くする部分もありそうだ。なおかつ、巨人でリリーフ中心に11年間、投げ続けてきた鹿取氏は、それ以前から「セ・リーグは緻密な野球、パ・リーグは豪快な野球」と言われていたとおり、いざ対戦するとバッターのスイングに違いを感じたという。

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