DH制はリリーフ陣の負担を軽減⁉︎
ブルペンマネジメントに見るセ・パの差 (2ページ目)
「まさに豪快と感じたね。僕が入った頃の西武は監督が森(祇晶)さんで、1番が出たら2番はバントという野球だったけど、他チームのバッターは試合の序盤、中盤だったらどんどん振ってくる。もう、自分のタイミングでガンガン振るし、バントするのはまず1点勝負の終盤だけ。これがパ・リーグの野球なんだ、と実感しましたよ」
個々のバッターが積極的に振ってくる。それがパ・リーグ野球の特性なのだとすれば、各バッターへの攻め方も変わってくるのだろうか。
「初球から勝負に変わったね。バッターがいきなり振る可能性があるので、あそこに投げて、ここに投げて、じゃなくて、一球目から勝負球を投げていかなきゃいけなくなった。もちろん速いボールを投げるのがいちばんいいんだけど、僕はそこまでスピートがなかったら、ウイニングショットで一球勝負みたいな感じにしていかないと打ち取れなかったです」
もっとも、そのように対策を講じたり、攻め方を変えたりすることは、投手としての成長、技術向上につながるはず。そこでDH制に立ち返ると、切れ目のない打線で投手の負担が重くなる、ということは、見方を変えれば投手が育つ環境と言えないだろうか。
「育つ環境に関しては、また別の話になるんだけど、僕はパ・リーグのほうが断然いいと思う。極端な例で言うと、先発でルーキーが投げた場合。3回までに5点取られたら、セ・リーグでは打順が回ってきたら代打を出されて交替ですよね。それではキャリアを積めなくなる。
その点、パ・リーグの場合は、『もう、今日は任せたよ。どんどん行ってこい』で、3回5失点だったのが6回5失点で終わる可能性もある。ということで、キャリアを積める。最初の打席で打たれたバッターを次の打席で三振取るとか。そうやって数多くイニングを消化していくことで成長していける。それがDH制のパ・リーグのよさだと思うんです」
ルーキー、若い投手がキャリアを積みやすい環境。言い換えれば、パ・リーグは先発投手が長いイニングを投げやすい。反対にセ・リーグの場合、試合展開によっては5回を待たずに投手の打順で代打を送り、続投可能な先発も早めに降板させないといけないときがある。そこは監督の腕の見せどころで、投手交代の妙はセ・リーグ野球の魅力のひとつと言われる。
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