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新人の長嶋一茂が八重樫幸雄にまさかの行動。「何事だ!」と杉浦享は激怒した (2ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Sankei Visual

――この連載では何度も話題に出ていますが、1974年に荒川博監督が誕生すると同時に、八重樫さんも杉浦さんも、「荒川道場」入りするわけですよね。

八重樫 僕もそうだったけど、杉浦の場合も上から命じられて、自分の意思ではなく渋々通っていたという感じだったよね。アイツの場合は、すごく簡単なんですよ。不満がすぐに顔に出る。「納得いっていないんだな」っていうのが、周りから見ていてすぐにわかるんだ(笑)。

――でも、結果的には杉浦さんは荒川道場に通ったことによって、打撃が開眼したんですよね。

八重樫 しましたね。それまでは右方向に打てなかったんだけど、荒川さんの指導を受けて、じっくりと引きつけて、体重移動を上手に利用してライト方向に強い打球を打てるようになった。僕はまったくハマらずに、逆にタイミングの取り方がバラバラになっちゃったけど、杉浦の場合は近くで見ていて、「あぁ、いい打球を打つようになったな」って感心したけどね。でも、本人はそれを認めようとしないんだけど(笑)。

【新人時代の長嶋一茂を叱った杉浦享】

――荒川さんの指導によって、打撃開眼したと認めないんですか?

八重樫 全然認めようとしないんですよ。のちに彼とゴルフに行った時の雑談で「お前は荒川さんの教えがハマったよな」って、何気なく言ったら、血相を変えて「いや、違います。僕は自分でコツをつかんだんです」って答えたんだよね。それで僕もムキになって「全部、自分ひとりの力でやったと考えるなんて思い上がりだぞ」「それまではセンターから左方向しか打てなかったじゃないか」と言ったんですよ。

――それに対して、杉浦さんはどんな反応だったんですか?

八重樫 僕がいくら「感謝するところはきちんと感謝しなきゃダメだろう」って何度言っても、ズーッと認めようとしないんだよね(笑)。

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