12球団の「もったいない選手」たち。 能力は超一流も定位置奪取できない【2020人気記事】

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Koike Yoshihiro

 新型コロナ渦に見舞われた2020年。スポーツ界も東京五輪・パラリンピックの延期決定など多くの打撃を受けた。そのなかでもスポルティーバでは様々な記事を掲載。2020年に配信された記事のなかで反響が大きかったものを再公開する(7月6日掲載)。

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 プロ野球の各球団にはチーム事情やタイミングに恵まれず、出場機会の少ない「もったいない選手」がいる。

 きっかけさえつかめれば、スターの仲間入りを果たしても不思議ではない。そんな高いポテンシャルを秘めた選手たちを紹介していこう。

 その前に、今回は投手を除外することにした。現代プロ野球は投手受難の傾向にあり、故障や不振がなく、実力さえあれば野手よりチャンスは多いからだ。

プロ2年目の2016年には7本塁打をマークした阪神・江越大賀プロ2年目の2016年には7本塁打をマークした阪神・江越大賀 野手の筆頭は、江越大賀(阪神)だろう。阪神の臨時コーチを務めた山本昌氏(元中日)が語ったという「12球団で一番もったいない選手」というコメントが江越のすべてを物語っている。

 馬力、脚力を含めた身体能力は間違いなく球界屈指。ツボにはまったときの飛距離にも夢がある。だが、問題は「ツボにはまったとき」がなかなか訪れないこと。タイミングのとり方に難があり、一時はスイッチヒッターに挑戦したこともあった。

 また、新外国人選手が開幕直後からバットが湿っただけで大騒ぎされてしまう、人気球団に在籍している環境面も江越にとってはマイナスに作用しているように見える。巨人から日本ハムに移籍し、解き放たれたように活躍する大田泰示を見ると、江越の才能がより惜しく感じられてしまう。

 今季の江越は開幕前の練習試合で本塁打を続けざまに放ち、「無観客試合の申し子」誕生を予感させた。だが、残念ながら定位置奪取には至っていない。

 現段階でも守備要員として一軍戦力になっており、福留孝介、糸井嘉男と高年齢の外野手がいるチーム事情を考えると江越を手放したくない編成陣の思惑は理解できる。同様に2017年に20本塁打を放った中谷将大、快足ランナー・島田海吏も「もったいない」と思わせる実力者ながら、阪神にとって必要な戦力なのだろう。

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