巨人・戸郷翔征の打ちづらさは天下一品。 藤原、根尾らを子ども扱いしていた【2020人気記事】
新型コロナ渦に見舞われた2020年。スポーツ界も東京五輪・パラリンピックの延期決定など多くの打撃を受けた。そのなかでもスポルティーバでは様々な記事を掲載。2020年に配信された記事のなかで反響が大きかったものを再公開する(6月25日掲載)。
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今から2年前の2018年2月。宮崎でのプロ野球キャンプ取材が終わり、ついでに近隣の高校野球も見ておきたいと思い、宮崎市内から北におよそ100キロに位置する延岡市まで足を延ばした。
なぜ、延岡に行ったかといえば、お目当ての選手がふたりいたからだ。
ひとりは延岡学園の小幡竜平(現・阪神)。前年の秋の大会で、内角の厳しいストレートをライトスタンドに特大のアーチをかけたという。身長184センチの大型遊撃手だが、動きも軽快で三遊間の深いところから一塁へストライクスローを投げられるという評判もあり、ぜひともこの目で見ておきたかった。
しかし、延岡学園のグラウンドはシーンと静まり返っていて、まったくひと気がない。空振りだった......確認もせずに訪れたのだから、仕方ない。
もうひとりのお目当ては、聖心ウルスラの戸郷翔征(現・巨人)だ。
気を取り戻して聖心ウルスラのグラウンドに向かったが、こちらも閑散としていた。だが、小高い丘の上にあるグラウンドに続く急勾配の坂道を見て、1年前に甲子園で見た戸郷の迫力あるピッチングを思い出した。この坂道で鍛えたら"本物"になれる。足腰も鍛えられるが、それ以上に"心"が鍛えられるだろうと......。
2017年夏、早稲田佐賀との1回戦。戸郷は立ち上がりからブンブン腕を振って、スリークォーターから激しく動く快速球とベース付近で急激に曲がるスライダーを武器に打者を圧倒。「打てるものなら打ってみろ!」と言わんばかりの表情も、2年生とは思えないたくましさがあった。
7回に4連打で2点を失ったが、完投して11奪三振。なにより、長打を1本も許さなかったのが、優れた球威の証拠となった。
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