巨人・戸郷翔征の打ちづらさは天下一品。 藤原、根尾らを子ども扱いしていた【2020人気記事】 (2ページ目)
甲子園でそんなピッチングを見ていたから、1年後に「宮崎選抜」の一員として侍ジャパン高校代表の「U18アジア選手権」壮行試合に2番手として登板し、5回1/3で9奪三振の快投にも驚かなかった。
高校日本代表には藤原恭大(大阪桐蔭→ロッテ)、根尾昂(大阪桐蔭→中日)、小園海斗(報徳学園→広島)といった甲子園のスターが名を連ねていたが、彼らをまるで"子ども扱い"していた。
腕の振りは荒々しく激しいのに、ボールはしっかりとコントロールされる。打者が嫌う"打ちづらい投手"の典型だ。しかも「打てるものなら打ってみろ!」と言わんばかりの表情は1年前と変わっておらず、その時も迫力とたくましさを感じたものだ。
むしろ驚いたのは、その年のドラフトで"6巡目"まで残っていたことだ。知名度も球速もそれほどあるわけではないが、"打ちづらさ"なら、この年の高校球界ではトップクラスだっただろう。
そんな戸郷が今年、高卒2年目ながら開幕ローテーションの座をつかんだ。巨人では桑田真澄氏以来、33年ぶりの快挙だという。
6月23日、今季初先発の広島戦。7回途中でマウンドを降りたが、4安打2失点7奪三振。見事なピッチングで今季初勝利を飾った。
ストライクゾーンで勝負できる球威とコントロール、タイミングの取りづらさ、ベース上で激しく動くクセ球......どれもが一軍で戦っていくための"必須要素"である。
7回、西川龍馬にストレートをライトスタンドの2回まで運ばれたが、あれは西川が持つ高度な技術のせいだ。それよりも注目したのは、ホームランを打たれたあとの戸郷だ。
4番・鈴木誠也に対し、外のスライダー2つで追い込むと、148キロの高めのストレートで詰まらせショートフライ。つづく5番・メヒアにはフルカウントまで持ち込まれたが、目の高さからフォークを沈めて空振り三振に仕留めた。
東京ドームなら、タイミングさえ合えば芯を外しても軽く放り込むスラッガーふたりに対し、恐れることなく腕を振ったからこその結果だった。
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