2020.08.30

巨人・直江大輔が持つ投手としての
「品」と「牙」。高校最後の夏に見せた熱投

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Sankei Visual

◆藤原、根尾を子ども扱いしていた巨人・戸郷翔征の高校時代>>

 若い選手が育ってこないというのが"定説"みたいになっていた巨人だが、近年ファームから、とくに若い投手の台頭が続いている。

 今やリリーフエースの地位を築きつつある中川皓太を筆頭に、同じくリリーフの大江竜聖、さらには菅野智之に次ぐ勝ち星を挙げてローテーションの一角を担う戸郷翔征......。そこに今度は、その戸郷と同期入団の2年目・直江大輔だ。

8月23日の広島戦でプロ初先発・初登板を果たした巨人2年目の直江大輔 8月23日の広島戦でプロ初先発を飾り、4イニングを投げて3安打、5奪三振、1失点の好投を見せた。

 気負いすぎることもなく、スピードをほしがるわけでもなく、用心深く、丁寧に、それでいて若者らしいエネルギーは存分に発散していた。

 とんでもなく速いボールがあるわけではない。それでも140キロ前後のストレートを両サイドに散らし、右打者へのスライダーはきっちり外に、フォークはキャッチャーが構えたミットよりもさらに低く投げ込んでいく。

 ピッチングの本質は松商学園(長野)での高校時代とまったく変わっていないが、たくましさが加わり、顔つきもプロの投手になっていた。

 直江のピッチングを初めて見たのは、松商学園2年の夏の甲子園で、2イニングほどリリーフで投げた時だった。第一印象は「品のあるピッチャーだな」と。高校生に「品」なんて似つかわしくないかもしれないが、その言葉しか浮かばなかった。

 長い手足を必要なだけ動かし、丹念に狙ったコースに投げ進めていく。雄叫びを上げたり、ガッツポースをしたり......そうしたパフォーマンスは一切なく、求められた仕事を淡々とこなしていく。そんなフラットなテンションは、ある意味、高校生離れしていた。

 以来、直江の成長が気になり、何度も見に行った。そのたびに「いいピッチャーだなぁ」と思ったが、こちらの要求も高くなり、だんだんと物足りなさを感じるようになっていった。