ドラ1候補なのに指名拒否。杉浦正則と志村亮が会社員の道を選んだ理由 (5ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Sankei Visual

 彼はこう語った。

「最後と決めたオリンピックが終わって、自分の中に目標がなくなってしまいました。後悔は誰にもあるものだと思いますが、僕は後悔のない決断をさせてもらいました」

 彼らがプレーした1980年代、1990年代とは、プロとアマチュアの関係性は大きく変わった。プロ経験者が高校や大学、社会人の指導者になることも増えた。だが、志村が言ったように、「覚悟のない選手が足を踏み入れちゃいけない世界」であることに変わりはない。

 今年も、プロ野球選手になることを夢見た選手たちがドラフト指名に顔をほころばせることになるだろう。しかし問われるのは、100人の新人の代わりに100人がクビを切られるシビアな世界に乗り込む覚悟だ。次の戦いはその日、ドラフト会議から始まる。

■元永知宏 著

『プロ野球を選ばなかった怪物たち』(イースト・プレス)

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