25歳で投手転向と中卒20歳。独立リーグ異色の2人はプロ入りなるか (3ページ目)

  • 菊地高弘●文・写真 text&photo by Kikuchi Takahiro

 当初は野球人生をつなぐために四国へとやってきた高島だが、今やNPBに手が届く位置にいる。「不思議っすね」と笑いながらも、高島は「絶対にNPBに行きたい」と強い口調で決意を語った。

「たぶん今年がラストチャンスだと思うので。コントロールを気にしていたらピッチングが小さくなってしまう。腕を強く振る持ち味を失わずに、真っすぐのキレを求めていきたいです」

 高島はエリートコースからの独立リーグ挑戦だったが、徳島インディゴソックスに所属する右腕・伊藤克(いとう・すぐる)は対照的な道を歩んできている。なにしろ、伊藤は高校に行っていないのだ。

「行きたくないから『行きたくないです』と言いました」

 伊藤はこともなげに当時を振り返る。神奈川・相模原シニアでは中学2年からエースを務め、3年時には最速142キロを計測。強豪校からの誘いも受けた。しかし、「野球はもういい」と未練はなかった。

「勉強も好きじゃないし、遊ぶのが好きなので。それなら自分で稼いで生きていこうと思いました」

 中学を出て、すぐ建設会社に就職。周囲は「もったいない」と嘆いたが、伊藤は「オレはオレ」と頑なだった。

 しかし、2年も過ぎると遊びにも飽きてきた。野球をやめたことに後悔はなかったが、伊藤は自身の日常に疑問を覚え始める。

「朝起きて、仕事行って、飯食って、寝る。毎日同じことの繰り返しで、刺激がありませんでした」

 生活にハリを求めた伊藤は自分に何ができるか考えた末、野球に戻ってくる。18歳で硬式クラブチーム・EMANON.B.B.C戸塚に入団した。

「最初は体が動かなくて、すぐに筋肉痛になったりしました。1年目は仕事の都合もあってなかなか練習に参加できなかったんですけど、2年目から土日を休めるようにシフトを組んでもらって練習に出られるようにしました」

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