【高校野球】大阪学院大高が本気で目指す「打倒・大阪2強」の先 根も葉もない噂の流布に困惑も
阪神甲子園球場で選抜高校野球大会(センバツ)が華やかに開催されている裏で、出場できなかった高校は夏に向けた準備をしている。
3月24日、大阪府吹田市にある大阪学院大高の野球場では、春休み期間を利用して練習試合が行なわれていた。
会社経営者の顔も持つ異色の指導者、大阪学院大高の辻盛英一監督(写真中央) photo by Kikuchi Takahiroこの記事に関連する写真を見る
【あくまで目標は日本一】
大阪学院大高は昨秋の近畿大会でベスト8に進出。準々決勝は0対4で敗れたものの、相手は近畿大会王者の東洋大姫路(兵庫)である。それでも、1月24日に発表されたセンバツ出場校のなかに大阪学院大高の名前はなかった。
大阪のセンバツ出場校がゼロに終わったのは、じつに98年ぶりの事態だった。大阪学院大高の辻盛英一監督は言う。
「大阪の高校野球ファンのみなさんには、申し訳ないことをしたと思っています。150校を超える大阪の代表が甲子園に出られなかったのですから、情けないです」
同じく近畿大会ベスト8で、出場校に選ばれた滋賀短大付(滋賀)はセンバツ初戦で敦賀気比(福井)と対戦。秋季大会では堅守が光っていたが、甲子園では6失策と乱れた。0対15というスコアで敗れている。
大阪学院大高の選手にとっては、複雑な心境なのではないか。そう想像していたが、主将の朝田光理(あさだ・こうり)は毅然とした口調でこう語った。
「滋賀短大付の試合をテレビで見て、初出場の緊張で思うような動きが出せなかったのかなと感じました。もちろん、僕たちも甲子園のグラウンドに立ちたかったですけど、大阪1位の履正社を倒してセンバツに選ばれたのは滋賀短大付なので。大阪3位だった僕らは、何も言うことはないです」
大阪学院大高の選手たちはすでに気持ちを切り替え、夏に向かっている。
近年、大阪桐蔭と履正社の「2強」時代が続いた大阪の勢力図に、変化が表われ始めている。昨春の大阪大会で大阪学院大高が履正社、大阪桐蔭と連破して優勝。センセーショナルな快挙にも、辻盛監督はこう言ってのけた。
「大阪桐蔭と履正社に勝ったことがクローズアップされてしまいましたけど、ウチの目標はあくまでも日本一です。大阪を優勝して日本一になろうと思うと、その間に大阪桐蔭と履正社がいるので。当然勝たなければいけないというだけなんです」
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著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。