25歳で投手転向と中卒20歳。
独立リーグ異色の2人はプロ入りなるか (5ページ目)
「体のキレとかバランスがかみ合っていて、『今日は(ボールが)いってるな』と感じていたら、147キロが出ました」
チームの同期のなかには横芝敬愛から入団し、最速150キロの快速球を武器にプロスカウトから熱視線を浴びる伊藤翔もいる。これから秋にかけて、徳島の「ダブル伊藤」の存在はよりクローズアップされていくだろう。伊藤克は言う。
「もう、そこ(NPB)しか狙っていません。そこで活躍することが目標です。自分がアピールできるのは向かっていく姿勢だけなので、そこを見てほしいですね」
――もし野球がなかったら、今頃どうしていたと思う? と聞いてみた。すると、伊藤は微笑して「ただ仕事をして、平凡な毎日を送っていたと思います」と答えた。同級生が高校野球に明け暮れていた時期、伊藤は会社員として毎日を過ごしていた。その時間は回り道だったのだろうか? それとも......。
「遠回りだったかもしれませんが、他の人ではできない経験ができました。マイナスですけど、プラスに考えています」
25歳にして投手に転向した高島秀伍と、高校野球経験のない中卒の右腕・伊藤克。もし独立リーグがなければ、彼らの野球人生は違った形を迎えていただろう。そんな2人が、今や夢に手が届く距離まで近づいている。独立リーグという世界には、そんな奇跡的な人生模様が広がっているのだ。
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