元独立リーガーがドラフト1位ルーキー・小笠原慎之介に託した夢 (5ページ目)
5月31日のプロ初先発のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)に続き、6月7日のオリックス戦にも先発した小笠原は、勝ち投手の権利を得たまま降板するも、リリーフ陣が失点しプロ初勝利を逃している。長坂氏は言う。
「変化球はもうひとつですが、まだまだ伸びしろはあります。プロでもっと伸ばしてほしいですね。やっぱり左の本格派として、日本を代表するピッチャーになってほしいです」
現在、小笠原の最速は152キロ。これは長坂氏の現役時代の最速と同じスピードだ。「140キロを出したい」と流浪の独立リーガーに教えを受けた少年は、いつしか師と同じスピードのボールを投げていた。このストレートにさらに磨きをかけ、長坂氏に「まだまだ」と評されている変化球に合格点がつけば、さらなる上のステージが待っているかもしれない。
「僕はアメリカでプレーしていたでしょ。やっぱりそのときは思いましたよ。先にはメジャーがあるんだって。彼には、僕が実現できなかったもうひとつの夢もかなえてほしいですね」
学校やクラブ終わりの中学生を相手にしている長坂氏の仕事が終わるのは、ちょうどプロ野球のナイターが終わる頃。小笠原が登板する日、長坂氏はスマートフォンが気になって仕方がない。そこに朗報が届く日は、そう遠くはないだろう。
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