2016.06.16

元独立リーガーがドラフト1位ルーキー・小笠原慎之介に託した夢

  • 阿佐智●文 text by Asa Satoshi
  • photo by Kyodo News

「まだひょろひょろでしたよ。プロに行くなんて思いもしませんでした」

 中日のドラフト1位ルーキー・小笠原慎之介との初対面の印象をこう話すのは、長坂秀樹氏だ。現在、神奈川県藤沢市で野球塾を主宰している長坂氏は、元プロ野球選手。といっても、NPB(日本プロ野球機構)の経験はなく、日米の独立リーグでプレーしたのみ。

5月31日のソフトバンク戦でプロ初登板を果たした小笠原慎之介

 東海大三高(長野)で甲子園の土を踏み、名門・東海大に進学。そこでも投手として大学選手権準優勝の立役者となるなど、順風満帆な野球生活を送っていた。だが、生来の鼻っ柱の強さから野球部を途中退部。そこから流浪の野球人生を歩むことになった。

 大学卒業後、一旦はサラリーマンとして働いたものの、約1年後に野球の本場アメリカに活路を求め、独立リーグでプレー。NPBスカウトの目に留まり、ドラフトの隠し玉と言われたこともあった。しかし一度、道を外れた者にはハードルの高い日本球界。結局、「あと一歩」でNPBのマウンドに立つことはできなかった。ただ、彼のピッチングを知る者はこう口を揃える。

「アイツならNPBで十分やっていけたよ。好調時ならメジャーの舞台に立っていても不思議じゃない」

 168センチの身長から最速152キロの剛速球を投げ込んでいた彼を見て、人は「リトル・ヒデキ」と呼んだ。

 その後、アメリカの独立リーグのチームを転々とし、2009年に帰国。四国・九州アイランドリーグ(現・四国アイランドリーグplus)の長崎セインツやBCリーグの新潟アルビレックスでもプレーしたが、2011年の春にクビを言い渡された。