4連敗で借金生活。巨人は「捕手・阿部慎之助」のカードをいつ切るか?
5月31日のオリックス戦(京セラドーム大阪)だった。この日、今季初めて一軍に昇格し、先発出場を果たした阿部慎之助が1―2で迎えた6回、二死一塁からライトスタンドに逆転2ランを放った。
「いいスイングができました。会心の当たり。やっと開幕しました」
交流戦から一軍復帰を果たし、存在感を見せつけている阿部慎之助
右肩のコンディション不良などで出遅れ、リハビリに励んだ苦しい時間が少し報われた。復帰を待ちわびていたファンの大声援を浴び、阿部は安堵の表情を見せた。6月4日の日本ハム戦(東京ドーム)でも6回に勝ち越しのソロをライトスタンド上段にまで運び「まだ、力はありますな」とお立ち台でおどけ、笑顔を見せた。
昨季は体調面の不安もあり、原辰徳前監督と話し合い、一塁手に転向してシーズンを迎えた。途中、捕手に復帰する期間もあったが、持病の首痛などの影響で再びファーストに戻った。一転して今季は「強いジャイアンツの象徴」と高橋由伸新監督が「捕手・阿部」を決め、本人もそれを希望。長年、慣れ親しんだポジションでチームへの貢献を強く誓っていた。
マスクをかぶり、キャッチャーミットを手に球を受ける。気づいたことを投手陣に親身になって助言する。体に染みこんだリズムでキャンプを過ごし「(捕手は)新鮮。プロに入ったときの気持ちを思い出して過ごしていけたらいい」と気分を一新し、シーズンに向かっていた。
ただ、キャンプ中から右肩に不安を抱え、なかなか状態が快方に向かわない。3月21日には開幕を二軍で迎えることが決まった。そこからも状態は一進一退が続いた。右肩がよくなったかと思えば、ほかの箇所に違和感が生じる。4月8日にはDHで二軍戦に出場し、一軍も近づいてきていたが、その後はまた試合に出ない日が続いた。
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