4連敗で借金生活。巨人は「捕手・阿部慎之助」のカードをいつ切るか? (3ページ目)

  • 深海正●文 text by Fukami Tadashi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 阿部は一塁からマウンドへと足を運び、「お前の持ち球だから、当てるのを怖がるのではなくて、思い切っていけ」と声を掛けた。落ち着きを取り戻した西村は自らつくった無死満塁のピンチを空振り三振、一ゴロ、見逃し三振と無失点で切り抜け「すごく助かりました」と阿部の言葉に感謝した。

 打撃面では、6月9日現在で2本塁打を放つ豪快さも見せているが、8四死球とつなぎ役もこなしている。また、7日の西武戦では4年ぶりとなる犠打を決めるなど、フォア・ザ・チームに徹している。打線に活気をもたらしている背番号10に、高橋監督は「相手も嫌だと思います。阿部は試合の流れを考えながらバッティングできる打者」と絶大な信頼を寄せている。

「マスクをかぶってチームに貢献できない分、バッティングはもちろん、内野から声を掛けたりして、少しでもチームの役に立てればいい」

 開幕から全開でいってしまっては体がもたないとの判断で、オフからあえてスローペースで調整を進めてきた。視線はペナントレース争いが本格化する夏場以降に向けられている。

 だがチームは6月10日からのソフトバンク戦で3連敗を喫し、借金生活に突入。交流戦中は捕手での出場はないと思われてきたが、チーム状態によっては予定よりも早く「捕手・阿部慎之助」が実現するかもしれない。そのとき、どんな波及効果が生まれるのか、注目したい。

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