ナックルボーラー大家友和、「魔球」を究めるプロ23年目の挑戦 (2ページ目)
メジャー最後のシーズンに野茂英雄に続く、日本人投手2人目の1000投球回数を達成したが、メジャーの球団からはそれ以上、彼に余力が残っているとみなされなかった。その後、メキシコから日本球界に復帰。そして2013年にBCリーグにやってきた。
ここで大家はナックルボールに活路を見出す。そしてこの新球を携え、2014年にはキャンプに招待選手としてメジャーの舞台に復帰した。結局、この挑戦も志半ばにしてやぶれたが、その後も現役生活を続けている。
試合当日、前日にローカル線を運休させた強風はこの日も止むことなく、時折方向を変えながら、バックスクリーンからネットに向かい吹きつけていた。
「こういう日は、ナックルは危ない球になるんです。よく相談しないと」
そう言って、久岐はダグアウト裏に消えていった。
マウンドでバランスをとるのも難しいコンディションにてこずり、初回にいきなり2失点を喫した横浜時代の後輩でもある相手先発投手の秦裕二を尻目に、大家は初回から安定した投球を見せた。
「結果的にうまくアジャストできたように見えたかもしれませんが、実際はそうでもなかったです。やっぱり、風の影響は大きかったですね。特に、僕のようなボールを投げる人間にとってはね」
こう試合後に語った大家だが、先頭打者には3ボール2ストライクまで粘られ7球を費やしたものの、続くバッターをそれぞれ3球で仕留め、上々の立ち上がりを見せた。
「風の方向とか状況によってできたこともあるし、できなかったこともある」
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