今永昇太と原樹理。遠かったプロ初勝利までの「友情秘話」

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 5月5日、DeNAはホームでヤクルトと13時から試合があったのだが、新人左腕の今永昇太は朝8時過ぎにグラウンドに姿を見せた。今永は開幕からローテーション入りするも、プロ1勝目は遠く、この時点で5試合に先発し0勝4敗。だが、その内容は新人とは思えないほど堂々としたもので、解説者たちも今永のピッチングを高く評価していた。

6度目の登板で待望のプロ初勝利を挙げたDeNAのドラフト1位ルーキー・今永昇太6度目の登板で待望のプロ初勝利を挙げたDeNAのドラフト1位ルーキー・今永昇太

「すでに投球術をわかっているピッチングをしているよね。真っすぐの球速は140キロちょっとだけど、若いときの和田毅(ソフトバンク)みたいなキレがある。"勝てるピッチャー"だと思いますよ」(山崎武司氏)

「真っすぐが強く、手元でのキレがあって、ピュッとくる。気の毒なくらい打線の援護に恵まれていませんが、今のピッチングを続けていれば、いずれ最多勝レベルの投手になるんじゃないでしょうか」(野口寿浩氏)

 ただ、今永本人はこれまでのピッチングを厳しい目で見ていた。

「首脳陣や野手の方は『打てなくてゴメンな』と擁護してくれるのですが、打線の援護がないから勝てないとはまったく思っていません。僕が相手ピッチャーよりも要所で粘れていないという絶対的な原因がありますから。先に失点することで、相手にリズムを作ってしまっている。ピッチャーに気持ちよく投げられたら、いいバッターでもそうは打てません。そこが勝てるピッチャーとの違いで、今の僕に足りない部分だと思っています」

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